森薫氏のマンガ『シャーリー』新マンガ誌「ハルタ」創刊2号と3号に掲載!!




ハルタ 2013-MARCH volume 2 (ビームコミックス)ハルタ 2013-MARCH volume 2 (ビームコミックス)
(2013/03/15)
森薫、入江亜季 他

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ハルタ 2013-APRIL volume 3 (ビームコミックス)ハルタ 2013-APRIL volume 3 (ビームコミックス)
(2013/04/15)
長崎ライチ、森薫 他

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Fellows!』から、この『ハルタ』になって一体何が変わったのか?
たぶん1年6冊の隔月間から、1年10冊の不定期刊行になっただけど思います。ちなみに次回の発刊予定は2013年5月15日頃と、ここのところは月間ペースです。これで、いいのでしょうか?色々と不安なのですが……毎度の事ですが、これも「雑誌」では無く、レッキとした?「書籍扱い」ですので、バック・ナンバーはまだタップリと出版社在庫としてあると思いますので、その気のある方は書店またはネット。あるいは、電話で直接注文しても手に入ると思います。
逆に通常の書店では、余程マンガやコミックに力を入れていない限り、1回の配本はせいぜい1~2冊。と言うか1冊が前提でしょう!何しろ、分厚いのですから……。


エマ (1) (Beam comix)エマ (1) (Beam comix)
(2002/08/26)
森 薫

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エマ 10巻 (BEAM COMIX)エマ 10巻 (BEAM COMIX)
(2008/04/25)
森 薫

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エマ  全10巻 完結セット  (Beam comix)エマ 全10巻 完結セット (Beam comix)
(2010/11/01)
森 薫

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『英國戀物語エマ』DVD BOX(初回限定生産)『英國戀物語エマ』DVD BOX(初回限定生産)
(2010/06/25)
冬馬由美、川島得愛 他

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『英國戀物語エマ第二幕』DVD BOX(初回限定生産)『英國戀物語エマ第二幕』DVD BOX(初回限定生産)
(2010/06/25)
冬馬由美、川島得愛 他

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と言う訳で、いよいよお久しぶりです。
シャーリー・メディスン」ちゃん、13歳の雑役(中産階級の家庭メイドの事です。大概、1人で何でもこなす何でも屋さんですが、分業専門家された職能こそプロの証!とされた時代ですので、大きな御屋敷でお掃除担当のメイドさんよりも、下に見られると言う単なる社会的な階級だけではなく、職種差別も盛んな時代でした……今でも、盛んかな?)ただ、実際に何でも出来るは何にも出来無いという言葉通り、大概の仕事が全て中途半端になるために、事実専門化されたメイドさん達には、どの仕事も及ばないと言う点もあったようです。
更に実際に、サボる事が多かったり職能怠慢だったりする事も、少なく無かったようです。当時のイギリスの作品である、いわゆる『名探偵シャーロック・ホームズ』や『ジェーン・エア』、『秘密の花園』などいわゆる名作花盛りの時期ですが、あまり「良いメイド」や「優しいメイド」は出て来ません(出て来るのもあります)。

特に上流階級の資産家の御屋敷などでは、「口も聞いてくれない」のでは無く、「むやみに使用人が雇い主と話しをしてはイケナイ」のですが、大概主人公の側がそういう事を知らない為に、悲しくなる。
そんな話題や表現が、多いように思います。しかし本編の主人公、13歳!のシャーリーちゃんは違います。
年は若く背丈も低いし、胸も……は、今後に期待して?ですが掃除に洗濯、食事に裁縫と何を取っても、女主人のクランリ-・ベネットさんのお墨付き!
そもそも、シャーリーちゃんがこの家に雇われたのは、一人住まいのベネットさんが出した新聞広告の、「住み込みメイド募集」の広告に、うっかり年齢制限を書かなかったから……13歳とは、今ではもちろん働ける年齢ではありませんが、当時は社会問題になるほど年少労働者が多く、問題は年齢より経験でした。

試してみたら、使える使える!何て可愛くて健気で、でもしっかり仕事もこなすシャーリーちゃんは、今やベネットさん自慢の、無くてはならないハウス・メイドです。

当然ですが、ネタバレ全開です!



シャーリー (Beam comix)シャーリー (Beam comix)
(2003/02)
森 薫

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まだ新刊本として購入可能です!

コミックビーム Fellows! Vol.2 (ビームコミックス)コミックビーム Fellows! Vol.2 (ビームコミックス)
(2006/10/25)
森薫

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今回と同じくコミック未掲載の新作!
たださすがに古本になるので
値段に御注意を!! 〉

予想に反して、実に良心的に?『ハルタ第2巻』と『ハルタ第3巻』の森薫著新作の『シャーリーメディスンシリーズ』は、何と1巻毎の読み切り!でした!!
2巻連続と聞いた段階で、勝手に「これはもう前後編だな!」と思ったのは、浅はかでした!


ハルタ・シャーリー前編全3

ハルタ・シャーリー前編左ハルタ・シャーリー前編右

〈『ハルタ第2巻』収録《シャーリーメディスンシリーズ届け物」》〉



ハルタ・シャーリー後編2

〈『ハルタ第2巻』収録「お願い」》〉


いやはや、まさか2作読み切りで来るとは思いませんでした!やられた!!
と言う訳で、『ハルタ第3巻の発売まで、待つ必要は無かった訳です。

基本的にこのお話は、13歳という非常識に若いハウス・メイドのシャーリーちゃんと、これも女主人としてはこの時代では完全に嫁ぎ遅れの、28歳(えッ?まだですって!?これは失礼!?)独身でカフェを一人で営む、ベネットクランリーさんの日常を、淡々と描いています(何だか聞いた事のあるフレーズですが、気にしないで下さい!)。
当然、過度な期待は禁物!です。

先回りしちゃいますと、3巻の「お願い」の方の最後に、欄外で「これからも不定期掲載でよろしく」という文言有りますので、どうやら今後も時々読み切り短編の形で、掲載するつもりのようです。
さらにこのシリーズは、いわゆる「サザエさんパターン」で、時間経過とは無関係に今のところは描かれています。

そして、同じくたぶんこの「ハルタ」という不定期刊行書籍扱いマンガ誌に、連載されるであろう「乙嫁語り」のシリーズに対して、圧倒的に力の抜けた読みやすく分かり易い作品です。小作品とでも言うのでしょうか?まさに舞台となるお店での、午後のお茶会のような作品です。
それだけについつい細密で、圧倒的な画力と構成で展開する「乙嫁語り」に対して、この作品からこの作者の、並々ならぬ力量が伝わります。
そもそも画力が有れば、言葉はいらない!と言うのは、大事ですが分かりやすい話です。しかしそれを、わざわざ超細密でも迫力のある構成でも無く、日常的な風景の中でわざとに背景やキャラクターの書き込みを省いて、淡々と描きながら見せるというのは、もはや神業!に近いと、思います。

結局画面を示さなければ、分から無い事なので、「ハルタ」第3巻掲載の「忘れ物」から、見てみましょう。


シャーリー・ハルタ02シャーリー・ハルタ01

シャーリー・ハルタ04シャーリー・ハルタ03

シャーリー・ハルタ06シャーリー・ハルタ05

シャーリー・ハルタ08シャーリー・ハルタ07

シャーリー・ハルタ10シャーリー・ハルタ09

シャーリー・ハルタ12シャーリー・ハルタ11


まさに、《マンガ家森薫の本領発揮!》この連続した12ページの中で、最初の1コマ目。
つまり、サイフを忘れた(本当に「愉快なサザエさんです!)女主人に、そのサイフを届けようとしますが、彼女のお店がどこにあるのか?実は、この時まで全く知らない!!
大体において、ハウス・キーパー(家政婦)も兼ねる中産階級のハウス・メイド(雑役メイド、つまり何でも屋さん)の重要な仕事の1つに、「お留守番」が、あったようです。特別な事情で家に仕事を持ち込まない限り、メイドが主人の仕事を手伝う事はありません。働く場所が異なるので、事実上不可能です。
ですから、別にシャーリーに限らずどこの家のメイドも、主人の仕事場がどこにあるのか?場合によっては主人は、何の仕事しているのか?すら、知らない知らせないのが、普通です。

主人が帰るまでに、掃除に洗濯そして主に夕食の準備。
これは、結婚していて家に夫人が在宅していても、同じです。今でもその名残はあるようですが、イギリスを始めヨーロッパの人々は、広く働く事を上のモノがすべきでは無い。貴族階級ともなれば、もちろん有閑階級であるべきで、その為に財政が逼迫(ひっぱく)しようと、どうしようと何もしない事を、誇りとしていたようです。
しかし19世紀も後半になると、いわゆる「ジェントリ」と呼ばれる、仕事で成功した資産階級が、上流階級に入り込んできます。特に長編の「エマ」という作品に、その辺のところは詳しいのですが、歴史の教科書にも載る「アダムが耕し、イブが紡いだ時、誰が貴族だったのか?」という言葉は有名ですが、かなり長い間、働かずに収入を得る。つまり、領主や王侯貴族の象徴が、「働かない事」だった訳です。
この為に長らく、上流階級の貴婦人達は、いわゆる「家事」というモノとは、無縁でした。
この習慣が、近代になっても残っていました。主人が外に働きに出ている間、いわゆる家事はメイドに任せて、自分は刺繍をしたり、教会の手伝い(ボランティアかな?)をしたりと、忙しくしている事が、良家の貴婦人という訳です。

なお、このクランリー家では主人が女性のベネットさんで、自分のカフェをまかっている訳ですから。
有る面当時としては、だいぶいわゆる「飛んでる女」だったのかも知れませんが、とにかく滅多に家を空ける事の無いシャーリーちゃんとしては、これは大事件だった訳です。だからこそ、そもそも家のドアや門にカギを掛ける!事自体、果たしてこれまで自分でやった事があるのかしら?という状態です。

という訳で冒頭で、「かぎ!かぎ……」と慌てる事になります。
普段、自分がカギを掛けて外に出るという事が、余り無いと言う事です。家を空ける時には、いつも女主人と一緒で、もちろんカギも彼女が掛けていたのでしょう。
そしてこの部分を除くと、何と主人の店に辿り着くまでの、およそ7ページの間ほとんど全く、セリフがありません。絵だけで、見せています。
これがこのマンガ家の、「真骨頂!」だと思います。いわゆる、典型的な「絵で見せる!」マンガ家ですが、それだけではありません。

背景などの書き込みに関しては、圧倒的に長編連載の「乙嫁語り」の方が、驚くほど細密で重厚なのに対して、こちらは手抜きか?と思えるほど、余り描き込まれていません。
しかしそれでも、見せるのですから、その力量たるや計り知れません。その上、本当は不安で堪らない、13歳の少女メイドが街中を、主人の店を探し回る心情を言葉では無く、その絵とコマ割りで表現しているのですから、もはや言うべき言葉は有りません!
まさに、マンガの神髄はここに有り!です。

しかもやっとたどり着いた店では、家での女主人と全く異なる顔と、耳にしない言葉が彼女の目と耳に飛び込んで来ます。
圧倒されたシャーリーは、すぐには言葉も出ないばかりか、店の中に入るキッカケすら、見付からない状態です。結局は、常連さんの出入りと、その対応によっていわば「発見!」される訳ですが、それにしてもベネットさん。何で今の今まで、サイフを忘れて来た事に気付いてなかったのでしょうか?
それは兎も角、女主人にはもちろん感謝され、常連客達にまで歓迎されたシャーリーですが、何しろ見るモノ聞くモノ全てが新鮮というか、初めてで呆気に取られるばかりです。しかも何と言っても意外だったのは、家では全てシャーリーに任せている女主人の、食事の支度からお茶の入れ方まで、まさに流れるようにスムースでリズミカルです。

その洗練された動きに、彼女は圧倒されます。
まァ、無理もない話で幾ら有能で機用とは言え、彼女はまだ13歳の少女です。逆にベネットさんは、もうそのくらいの期間、この店を一人で切り盛りして来たのです。キャリアの違いは明白ですが、いささか過度に、完璧主義なところのあるシャーリーちゃんにとっては、それでは済まされない事だったようです。本来は自分がするべき作業を、自分よりも圧倒的に上手く、そして手際よく、行われるのを見てかなり圧倒され、思い詰めた感じです。
しかもここら辺の彼女の心情は、全く言葉になっていません。ベネットさんもほとんど話し掛け無いし、会話と言えばシャーリーちゃんには無縁な、大人達の会話だけが行き交う店。もちろん、それで当たり前なのですが、何もかもが初めての彼女にとって、女主人が出してくれた店のメニューも、味も自分の想像以上の出来映えに思えたようです。

何と言ってもその白眉が、ベネットさんの紅茶を入れる立ち姿!


シャーリー・ハルタ10


カフェとしての、パフォーマンスもあるのでしょうが、もちろん自分が客に出す紅茶に対する自信と誇りの現れ!と言えるでしょう。
その姿に、シャーリーちゃんは完全に、圧倒され打ちのめされます。この後、逃げるように家に帰った彼女は、すぐに自分で紅茶を入れてみます。
その、年齢相応の小さな背中がより小さく見えるところで、彼女の気持ちが痛いほど伝わって来ます。今まで、自分の仕える女主人が煎れるお茶が、どんな味か?など、考えても見なかったのでしょう。

しかし帰って来た女主人は、彼女の煎れてくれたお茶を本当に美味しそうに飲み、礼を言います。
その答えに、正直納得できないシャーリーちゃんが、「お店のお茶の方が美味しかった!」と主張すると、ベネットさんは事も無げに、「ああ、だってお茶の葉が違うモノ」と言ってのけます。
ちなみに、家で煎れる方が、良いお茶だそうです……。その上で、「やっぱりシャーリーの煎れてくれたお茶の方が、店で自分が煎れたお茶よりも美味しいわ」とさえ、お世辞抜きで付け加えます。

ですがシャーリーは台所で一人、あの時見て圧倒された立ったまま高い位置から、お湯を注ぎ込むベネットさんの煎れ方を、足継ぎの台の上から真似てみます。
「やっぱり、あのお茶の方が美味しい……」
女主人曰く、「人の煎れてくれたお茶が美味しい」のかも知れませんが、この小さな完璧主義者には、新たな課題が出来たのかも知れません。

なお今回、この「ハルタ」3巻と4巻で描かれた「シャーリー・メディスン」という作品には、これまでの作者には。余り見慣れない試みがされていました。
それは断ち切り、と言う手法です。


向かって左側は、上端及び左端がいわゆるページの周辺余白から、飛び出した形で描かれています。
そして右側は、下端が2コマともページの余白から、飛び出しています。この作者は、実に古典的ないわゆる、「手塚治虫流の映画的なストーリー・マンガで、それに準じた丁寧な余白を使うマンガ手法」を、実に忠実に守って来ました。

しかし今回、この新しい作品では特に少女マンガで登場発展し、現在では当然様に用いられる、「断ち切り手法」を、かなり積極的に取り入れています。
裁ち切りではない場合、多くは余白の白線によってそこでイメージが完結し、ある意味でマンガとしての閉じた世界観を確立します。しかし、裁ち切りという手法はその先にも、まだ広がりがある!という、ある種読み手のイメージを制限しない手法となります。
ただ、読み手のイメージは千差万別です。それが、自由になるとその先の展開が、イメージと異なった場合、読み手は混乱するか場合によっては、自分のイメージとの違いに読むのを、やめてしまうかも知れません。
少女マンガでこの手法が確立した最大の理由は、いわゆる「心情描写の多様化」です。
登場人物の心情を、いかに分かり易く伝えるか?セリフなどの言葉では無く、絵でそれを伝えよとする時に、マンガとしての自己完結を意味する白枠が邪魔になってしまった……、著しい少女マンガ系の作品では、コマとコマの境である細い白枠線さえ、無くす方向に進むような表現方法まで、出現しました。

ただ、この「シャーリー・メディスン」という作品の場合、作者が広げたのはむしろ心情の広がりではなく、物理的な空間の広がり。
この場所や場面は、これだけでは無いのだよと言う、非常に分かり易い即物的な、空間の広がりを史増すためと、考えた方が良さそうです。まただからこそ、余り背景を描き込まない作品で有るが故に、用いやすい手法とも言えます。
まさに、女主人が店でお茶にお湯を注ぐ立ち姿のシーンこそが、その典型であると思います。




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『あんのんブログPart2・HINAKAの戯れ言』です。
本来は、『あんのんブログ・HINAKAの雑記』としてSo-netブログであったものが、So-netブログから追い出されて、ここで新たに構築するモノです。

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