もちろん森薫著『乙嫁語り』の「放牧地」が目的の『ハルタ・2013年5月・第5号』



ハルタ 2013-MAY volume 4 (ビームコミックス)ハルタ 2013-MAY volume 4 (ビームコミックス)
(2013/05/15)
宮田紘次、森薫 他

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エンターブレイン社刊・ビームコミック不定期マンガ誌『ハルタ2013年5月第5号』ですが、もちろん目的は森薫連載の『乙嫁語り』この不定期で年10冊刊行のマンガ誌『ハルタ』での仕切り直しで、通巻がリセットされ今また第2話!となった『乙嫁語り』です!
ですが、今回は「放牧地」と言う事で、何とタイトルに偽り有り?《乙嫁(「可愛いお嫁さん」で対になるのが、「可愛いお婿さん」となる聟花だとか……)》どころか、女性の登場場面は全年齢層を通じて、1場面もありません。
なお次回の『ハルタ第6号』の発売予定は、1ヶ月後の2013年06月15日だそうです。なおこの不定期マンガ誌も、それ以前の『Fellows!』マンガ誌ではありますが、いわゆる「書籍扱い」ですので、前刊号が本屋の店頭に残っていたりします。
また、雑誌と違って発行部数が少ない為に?流通や特に出版社の在庫は、豊富に(いいのだろうか……?)残っていますので、バックナンバーの取り寄せも比較的容易です(残っている限りは!と言うところは、当然ですが……)。逆に、書籍扱いである為に発行部数が少なく、通常の大きな本屋でも数冊。イヤ1冊配本があれば良い方で、通常の本屋では入荷すらしないかも知れません。それもあってか、Amazonなどの通販ではバックナンバーまで含めて、比較的入手は容易です。

さて本題に戻ると、この作品の舞台となっている、現在の中央アジア地域(カザフスタンを含むキルギス・タジキスタン・トルクメニスタン・ウズベキスタンの5ヶ国の領域を指す現在の国際連合による地域名称によるもの)では、都市近郊以外では耕作地以外の広い草原や荒れ地。あるいは砂漠と呼ばれるような、不毛の大地が広がっています。そのような場所では今日でも、そもそも人と行き会う事が難しく、いわゆる放牧という牧畜様式を取っていると、当然のように見張り役の人は孤独です。
孤独なのですが……。

今回の主人公は、最初の乙嫁で未だに人気の高い(?)、アミルさんの実家の長男。
つまり、これもかなりの人気があるらしい、寡黙ですが頭も良くて行動力もある、アミルさんのお兄さんです。ただこの人が独りで登場すると、当然ですがセリフが無い!


何だか既にネタバレ全開です!



今回の主人公は、紛れもなくアミルさんのお兄さんで、実家の長兄でもあるアゼルさんです。
父親が浅はかな為に、一度騙したも同然に行き遅れの妹を、遠い親戚で街に定住した、当事者の跡取り息子がまだ12歳と若いところに、20歳の娘を嫁がせました。しかも他へ嫁に出した娘が、その婚家での扱いが酷くて、事実上虐め殺されたのに、その婚家との関係を維持したいばかりに、1度嫁に出した娘を取り戻し、嫁に出し直そうと画策する……。

父親達の思惑はともかく、厳然たる家父長制故に家長たる父の意向に逆らえぬまま、その釈然としない談判に臨みます(単行本・第2巻第七話&第八話争い前後編・参照)。
案の定、イヤ多分それ以上の苛烈さで「嫁(アミルさん)は返す理由が無い、それでも無理を言うなら、もはやそちらとの縁を切る」とまで、言われてその場は引き下がります。しかしアミルさんの父親は、想像以上に身勝手で、それならば実力で取り返すまでと一族を引き連れて、何とアミルさん奪還(拉致?)に、街へ乗り込みます
アゼルさんは、道理の無さと無謀な行為を嘆く、若者達をまとめながらも、自分もまたその不本意な力押しと言うよりは、盗賊行為に手を貸します。しかし最初から、相手の力量を見誤っていた父親達は、たちまち街全体を罠にして、待ち構えていた定住民側に、コテンパンにされてしまいます。それを予想しながらも、善処するアゼルさんはいわば孤軍奮闘状態……となります。しかし結局は多勢に無勢な上に地の利まである相手に捕らえられてしまいます

寡黙で言い訳をしないアゼルさんですが、親父と違って出来るヤツと言う事は、アミルさんの婚家でも知られていました。
だからこそ他との連携を取らさず、孤立させて大勢で動きを押さえ、最後は家同士の面子の為に、アミルさんの婚家に婿入りしているお兄さんに、取り押さえられてしまいました。これはもう、アゼルさんの責任ではなく、その父親とその周囲の親族達の浅慮の結果だったのですが、ここでもアゼルさんは言い訳も父親にへの苦言も、口にしませんでした。
結果敵には更に放牧地が狭くなり、遊牧民には欠かせない馬の食糧事情も、悪くなる一方です。

そんな馬達の放牧の責任者が、跡取りのアゼルさんでその仕事を任されるのは、遊牧民にとって最も価値ある名誉であり、次期頭領の証(あかし)なのだというのが、今回のセリフ無し部分のお話ですが……。
という訳でこの前半は、遊牧民にとっての馬の所有頭数とその維持管理は、まさにその家の格を意味すると言う事に、割かれています。どれだけ多くの、優れた馬を育てるかが、一族の中での立場と次期頭領の能力を、物語るモノという説明に終始しています。その結果、寡黙なアゼルさんは独りで、黙って馬達の面倒を、見ているシーンが続きます。
何と、冒頭から見開き2ページの、表紙シーンを加えて10ページ!説明としてのナレーション以外、全くセリフがありません。ひたすら馬達とアゼルさんの日常が、描かれるだけです。
その為かどうか?特に今回は、普段余りこの作者が使わない、「擬音(馬の群が走る音を、ドドド……とか)」が比較的多く、使われています。

そんなところへ、いつもの従兄弟と若者仲間が立ち寄ります。
その従兄弟は、アゼル君の食料が乏しくなっただろうと、立ち寄った理由を口にして水と食料を渡します。ですが、実際は「馬の餌は足りない、餌場は減ったが、他から買いたくは無い、買うの恥だ!」と不毛の議論を繰り返す親父達から、逃げて来たというのが本音のようです。ここでまた、アゼル君がどれだけ優秀な狩人か?をセリフ無しの五ページ連続で、描いて見せます。
これで、今回の全24ページ中は15ページは、セリフ無しのナーレションのみで、後は絵で語って見せています。何と全ページの2/3が絵だけで語る、しかも描かれるのは人馬一体?の若い男性1人と、馬の群。そして背景に広がる、大自然の高原。
まさしく、ある種マンガの究極形態!です。

そんな見事な、人間と馬と自然を描いておきながら、「限られた餌場の草原を、狭められた上に、買いたくないのなら……奪うまで!」と言う、自然の掟とは名ばかりの身勝手な人間達の欲望と行動
けれど、それを知る若者は未だに父親に忠実という、優秀であるが故に実直さが災いとなる状況から、抜け出せずにいます。このままでは自らが一族共々、始まりの破滅へと向かう事を知りながらも、その成り行きに身を任せるしかないのでしょうか?

マンガは見るモノ」と言う前提から、更に進んで「マンガは絵を読むモノ!」領域に達した、森薫氏のコミック・ワールド!を、是非御堪能あれッ!
と言うのも、この作者の絵を読むのは、変型A5版の通常コミックでは明らかに不充分だからです。このB5版マンガ誌紙面の大きさ、特に見開きの威力は類い希(マレ)とも、言えると思います。


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『あんのんブログPart2・HINAKAの戯れ言』です。
本来は、『あんのんブログ・HINAKAの雑記』としてSo-netブログであったものが、So-netブログから追い出されて、ここで新たに構築するモノです。

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