マンガ植芝理一著『謎の彼女X』全12巻!無事に完結!!お疲れさまでした‥‥‥。



まさかまさかの、第12巻で目出度く終了して‥‥‥しました?
植芝理一(うえしば・りいち)著のアフタヌーン・コミック、『謎の彼女X』です。ただこちらも驚いたのですが、後書きによれば既に10年が経過しているとの事。
一体どこから、オカルトで摩訶不思議空間へ行って、還って来る?チョッとエロスでバトル&アクションな、ファンタジーになると思っていたら(後書きで、作者もそのつもりがあった事を述べています)、結局はチョッと変わった高校生の恋愛を中心とした、主に青春学園ドラマとして、見事にまとめてしまいました。

こう言っては何ですが、天下の《ロリコンオカルトエロスサイコなマンガ家(代表作「デスコミニュケーション」「夢使い(アニメ化されてます)」他》ですので、いつどこから、変化するのかと思いましたが作者自身「最近ちっとも《謎の彼女》じゃ、なくて「普通の彼女」になっていると、書き込むくらい普通の学園青春恋愛マンガでした。
もちろんこれには、丁度時期がぶつかった例の「東京都改悪青少年健全育成条例」に影響された、編集方針が多大な影響を与えている事は、物語の端々で触れられています。結果として作者として、予想すらしなかった「高校時代に彼氏彼女と一緒に見た夕焼けほど美しい夕焼けは無い!」という、恐ろしいほど純朴な青春恋愛マンガとして、終わりました。
作者としては、「これはこれで良いし、これからもこういう展開になるような作品を、描く気がする」と、述べています。


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確かに、その点には同感です。
オカルト的な、呪術マンガになった場合、広げた風呂敷が畳めないような、何がどうしてこうなったのか、解説が必要な展開になるよりは、良い気がします(是非、既に放映されたアニメ版の続きを、この際その時と同じスタッフとキャストで、最後までアニメ化して欲しいものです!)。もっとも、この作者独特のオカルト版ロリコン呪術マンガにも、期待はしています。


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もう一つのアニメ化作品ですが、このアニメ版は余り評価できません。
原作は、面白いのですが‥‥‥。


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何しろその前の、『ディスコミニュケーション』は、こんな感じでしたから。


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基本的には、今回もたぶんこうなる形だったのだろうと、思えます。
恐らくは男女を逆にして、男の子が女の子に巻き込まれる形で‥‥‥何せ「謎の彼女」ですから!そしてたぶん当時のマンガ界を取り巻く状況、特に東京都が推進し決定した悪名高い(と信じていますが?)《青少年健全育成条例の改正案いわゆる「非実在青少年に対する猥褻行為を表現する事を禁じる」条例案》の行方を巡り、大いにマンガ界やマンガ好きを震撼させていた事が、影響している事は間違いないと思います。

作者が当時、次回作の構想として持っていたものが、結局何だかんだと編集から言われる形で、消え去った事は間違いありません。
これは別の作家さんの話ですが、現在いわゆる大手出版社の、コンビニでも売るような有名マンガ誌には、例え添え物としても、16歳以下に見られるようないわゆる「少女」は、例え通行人Aでも《描き込むべからず!》だった、そうです。

心配されていた、国会での《児童ポルノ禁止法改悪案》は文字通り、与野党及び各議員の思惑駆け引きの中で、いつの間に一番の懸案だった『表現規制』に、該当する部分は、アッサリと削除されていました。そして、相変わらず「何がどうして問題で、なぜ犯罪行為なのか?」という表現だけが、残った形になりました。
しかし現実には、岐阜県でのイラストレーターが、CGソフトも手書きも使って描いた創作イラストに対して、描いた罪と販売した罪で、逮捕起訴されたまま裁判がストップしています。この事件は甚だややこしいので、なぜ真偽が止まってしまったかというと、例の裁判所及び弁護側が求めている「証拠の開示」を、例によって検察側が拒んでいるからです。押し問答の末結局、「改めて証拠等の整理期間を設ける」事となり、一向に裁判は進まないまま、既に1年を過ぎようとしています。で裁判の冒頭である「被告人質問」すら2014年11月29日現在、いつ行われるのか目途は立っていないようです。

この立件は完全な、検察のフライングで笑い事では無いのですが、「元の写真をスキャナ取りしたのか、トレースしたのか?」という事に関して、警察も検察もまったく違いを考慮していなかった事が、大きな問題です。
もちろん他にも笑い話的な、恐ろしい《冤罪》への落とし穴だらけですが、いかにして写真が絵になったのかという、過程を証明する必要が今検察側には問われています。しかし当初、「写真を元にしているのだから、出来上がった絵が児童ポルノであれば、立証の必要は無い!」と言い張っていた検察も、どうして絵が出来たのか過程を証明しろ!と言われて、いよいよどうするのか?
過去の冤罪事件ではここで必ず、「捏造」や「有りもしない新証拠」により、有罪確定に大きく傾きます。それだけに、逆に裁判所も慎重にならざるを、得ないところでしょう。

さてこのような環境下で、今回の本題「謎の彼女X」を見ると、これまでの作者の作品との違いが、自ずと見えて来ます。
作者自身が、最終12巻の後書きで特に読み切り(事実上の第1話ですが、読み切りとして、けいされていたので、連載としては?「0話」となっています。)の時には、「当時としては後先考えていなかった」としています。ですから、そもそものテーマというのが、「自分が初めて経験する相手はどんな相手なのか?」という、男女高校生の純朴と言えば純朴、不純と言えば不純な、誰もが通る素朴な疑問というか想いが、いきなり叶う!?という事が、その内容でした。
ちなみに読み切り(連載としては「0話」)の時点では、彼女の方が彼氏をその相手と認知したところで、終わるお話でした。

これが連載の第1話では、実に大胆なオカルト呪術的要素のある、描き込まれた背景で見事にエロティックな、主人公・男の子のまず夢として、いわゆる初体験が描かれます。
もちろん、夢のワンシーンでしかありませんから、この部分でどうのこうのと言うのは、完全に筋違いなのですが絵柄的には、もしかすると今ではダメかも知れないと言う表現です。そして更に、この時点ではまだまだ大きかった「謎の彼女」の「」の部分として、その夢を彼氏(主人公の男の子)が見た事を、よだつばの交換。
これが実はこの作品の、大きなポイントで同じ想いを共有する?《彼氏彼女の具体的な絆》一種の儀式として、二人の日課として執り行われます。そもそもの理由は、放課後まで教室の机の上で眠っていた彼女を、彼氏が起こした時に見た彼女の、涎(よだ)れ顔を「可愛い!」と思って、いわゆる一目惚れ的な恋愛感情に落ち込んだのが理由でした。彼女の涎れを舐めて、《甘いッ!》と感じた彼は、もう彼女の涎を体内に取り込まなければ、体調不調いわゆる「恋の病い」を、煩うようになっていた‥‥‥これが、変態系恋愛マンガ?でなくて、何なのでしょう。

あのフリー百科事典ウイキペディアWikipediaリンク済みですら、ジャンルを「正体不明の恋愛漫画」と、しています。

そして、「涎の交換・彼女が自分の人差し指を舐めて彼氏の口の中に指先を入れて舐めさせる」という、毎日の恒例行事以外に、いわゆるデートとか手を繋いで歩くとか、出来れば一緒に遊びに行くとかの、恋人らしい行為がありません。
確かに毎日恒例の行為が、極めて異常にエロティックではありますが、健全な高校生男子を自認する彼氏には、慣れてしまえば刺激足りません。ある意味納得できる、ある意味贅沢な悩みではありますが、健全な高校生男子にとっては、ある意味毎日が生殺し状態である事も、否定できません。

そんな彼氏の、煩悩の固まりのような悩みに、彼女も「自分だって同じだ」という事を確認させる為に、人気(ひとけ)の無い廃ビルへと彼氏を連れ込みます。
そこで彼女は、彼氏に「いいと言うまで絶対目を開けない!」と約束させ、彼氏が目を瞑るとセーラー服を脱いで全裸になり、そのままいつもの日課となった指先に付いた涎を、彼氏の口の中に差し入れて舐めさせる。という、極めて大胆な(これも現在では同様のような表現では、無理かも知れません。)行為を行い、彼氏はその涎から彼女が現在の行為で、どれだけ恥ずかしさと興奮を覚えているのかを、感じ取ります。ただし、なぜそんなに恥ずかしくも興奮するのかは、わかりません。
その感覚を指して、彼女は「それが私と貴方の『』の証明よ」と、言ってのけます。この時彼氏は、何と鼻血まで流してしまいます。
この日の夜、彼氏は彼女の唾液を舐めた興奮が収まらぬまま眠ったせいか、これまた興奮するけれど変な夢を見ます。それは、彼女との異様な初体験の夢。もちろん翌日、その事を彼氏は彼女に黙っていますが、彼氏の挙動から不審を感じた彼女が、素速く彼氏の口に人差し指の先を差し入れ、その唾液を付着させると自分が舐めてみます。
途端に彼女は、文字通り耳まで真っ赤になり、それこそ鼻血が出たのか、顔を押さえながらこう言います。
「わたし、ああいう事をするとき(初体験?)、あんな変なお人形を、頭に着けたりしないわよ」
それは、彼氏の見た夢の中で、彼女が頭に着けていたものです。

この発言に驚いた彼氏が、彼女に「おれの見た夢が分かるのか!?」と、聞くと。
彼女は、「それは、」と言って、走って逃げ出します。
そして、彼氏は彼女を追い掛けながら「僕の彼女を一言で言うなら、『謎の彼女』?」と言う訳で、読み切りの第0話を経ての連載の第1話は、終わります。

正直、ここまでで既にかなり、危ない橋を渡っていると思われます。


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と、いう訳でまずは「表現規制とアニメとマンガの違い?」と言う視点から、敢えてアニメ版と原作マンガの同じ部分を比べて、アニメとマンガの違いが表現の規制?と、関わるかどうかを見てみます。
もちろんそもそも、マンガとアニメはまったく別のもので、それを比較検討する事に意味があるのか無いのかは、それぞれの媒体で表現される、作品の内容平たく言えば出来次第」となります。最大の問題は、マンガ原作のアニメ化にしてもその逆にしても、似ているかどうかはそれぞれの作品の方向性に選りけりです。

幸いにして?と言うべきか、この植芝理一氏原作マンガのアニメ版は、「非常に原作の表現を忠実に踏襲しながらも、アニメ独自の展開に成功した希有な作品」と言えると思います。
特にアニメ版の全13話中、序盤の1話と2話をほぼ完全に、原作マンガの0話と1話に置き換えたのが、出だしの良さと無縁ではないと思います。というのも、この後は全13話で話しを収める必要からか、あるいはまたシリーズとしてのドラマ性を盛り上げる為なのか?原作の順番を入れ換えて、キチンと季節順にしたり、あるいはまた前半では登場しない、原作キャラクターやストーリー、またエピソードなどを自然に前倒しで挿入して、違和感がありません。
ですのでここでは、より規制の厳しいアニメと原作マンガの、特に良く似せた同一部分を比較する事は、問題無いと思います。

原作マンガでは第1話ですが、アニメ版では読みきりだった原作の第0話を、アニメ版の第1話としていますので、アニメとしては第2話になります。


謎の彼女05

第2話03

この場面が、最も象徴的だと思います!
原作では、完全に全裸姿のヒロインが、真横向きという際どいポーズではありながら、ハッキリとそれと解るように描かれています。
ですが、アニメでは原作の窓の向こうに沈み行く、大きな夕焼けの太陽が描かれている事を、利用して。この場面が、逆光であると解釈して(間違って這いません)、実写撮影のように全体をハレーションの陽光で飛ばし、各々の姿が見事にシルエットになる構図を、作り上げています。
この結果、原作では目を瞑った(瞑らされた!)彼氏が、全裸になった彼女を前にするという、かなり際どいシーンが黒いシルエット姿で、健全に描かれています


謎の彼女07

第2話05

第2話01


次に大きなポイントは、実際のマンガでは小さな1コマに過ぎない場面をアニメではむしろエロティックかつ大胆に、逆光でシルエットと化している事を理由に、大きく描いています。
敢えて言うなら、彼女の胸が原作よりもハッキリと大きくて、形の良い事が解ります。これは後に、原作でも他の場面言で及される事ではありますが、この時の彼女のプロポーションは、そこまで強調されて這いません。
むしろ、健康的なほど色気の無い、少女体型的に描かれています。原作のマンガとしては、この部分をエロティックに表現する必然が、恐らく無かったのだと思います。


第2話04

謎の彼女06


さらに原作では、彼女が全裸である事を正真正銘、強調するかのように脱いだ下着を含めた衣類を、ハッキリと描き込んでいます。
逆にアニメの方では、これも逆光であることを利用して、脱いだ衣類を陰に隠すように、特に下着類にはまるでカメラの焦点が合っていないかのように、微妙にボカされた感じに描かれています。このTVアニメ・シリーズは、まだ第9巻が発売される以前頃に放映されていますので、実際の製作時には大体第6巻に収録されている作品が、描かれたかどうか?という時期だと思います。

もしも、これが最終の第12巻まで、描き終わってからのアニメ化であると、この夕焼けの大きな太陽を描かずに、女性の全裸像をシルエットにする為の舞台装置として、果たして利用できたのかどうか?大いに疑問です。
その理由は、第12巻に収録されている原作マンガの、最終第92話「謎の夕焼け(後編)」で、リアルにハッキリとします。もちろん果たして、この原作マンガ序盤となる第1話(その前に第0話がありますから、正確には2話目ですが・・・)で、作者がどこまでハッキリとこのマンガ作品全体のテーマとして、「高校時代に見る夕焼け特に彼女と一緒に見る夕焼け」というものが、持つ意義を考えていたかは解りません。
ただ、少なくともその時点でアニメ化する場合には、このアニメ版での第2話に当たる大胆な彼女の全裸シーンをどのように表現するかにはまた違った工夫と悩みが在ったのでは無いか?と、推測します。

さてここで、現在のマンガ製作現場における、かなり深刻な「表現の自主規制」に関しての記事を、紹介します。



RBBTODAY2014年11月06日
20時07分リンク済み

の記事から完全無断引用です。


《『ぬ~べ~』作画担当、「児童ポルノ規制」に怯えるマンガ業界の内情明かす》


現在ニコニコ動画の系列サイト・ニコニコ静画で、『ぬ~べ~』の213話「ゆきめ、禁断の恋!?の巻」が配信中(引用者註:既に配信終了)。

ヒロイン・ゆきめと少年の姿になった主人公・鵺野鳴介のお色気アリのエピソードなのだが、岡野氏は、「作者的にも大好きなんだけど、これ、今はもう描けないんです」と語る。
なぜなら、裸の子供と成人女性が絡むシーンが、児童ポルノとみなされる可能性があるからだそう。

岡野氏は、現在連載中の『ぬ~べ~』の続編『地獄先生ぬ~べ~NEO』でお色気シーンが少ないのは、規制にあうことを避けた結果だと明かす。
また、実際に子供の裸を描いて規制されてしまったこともあるという。

 「実際にあの程度の描写で、逮捕されたり雑誌回収騒ぎになったりってことはありえないと思う」としつつも、「現場は(というより、出版社は)かなり怯えてる、萎縮してるって感じるよ。青年誌なんてほぼ赤字だから、回収なんかしたら大打撃だもん」と萎縮しきった現場の実情を暴露した。

 この一連のツイートはかなり反響を呼んだそうで、その後、岡野氏は、「これで、今進んでるマンガ・アニメの表現規制が何かおかしいってこと、少しわかってもらえたかも・・・?」とつづっている。

《原田》



《参照》


ゆきめ08

ゆきめ09



ゆきめ10


ゆきめ11

〈まァ、これがダメとなると・・・植芝理一氏のマンガは、
今後どうなるのでしょう〉



植芝氏は、「表現の自主規制」について、具体的には何も述べてはいません。
しかし、明らかに作品内にそれを意識したと思われる、部分が描かれています。一番顕著なのは、実はこれが最も好きなエピソードでも在るんですが、文化祭で上映する自主製作映画に出演した時でしょう。ちなみに、当初から彼氏は映画研究部の事実上ユーレイ部員という設定があり、チョコチョコと話が出て来てはいました。
しかし第9巻の「文化祭において自主映画を上映する」という、自身は知らぬ間に決定した件に関して、半強制的に協力させられる事になりました。このエピソードが、曰く「謎の映画製作」となる訳ですが、同じ題材のエピソードとしては、連載中最も長く1~6話まで在ります。

その第1話で、監督であり(彼氏が知らない間に)副部長になっていた彼氏の後輩になる女子が、激しく主張する場面があります。
「ノーマルだろうがアブノーマルだろうが、映画を作るなら自分のイメージに忠実であるべきです!(中略)そもそもノーマルとアブノーマルなんて、誰が決めるんですか!!それを決める絶対基準が、学校にあるとは少なくとも私は思いません!東○都にもありません!(以下略)」
この間もちろん周囲の部員達は、必死に女子監督を宥める訳ですが、彼氏その余りの迫力に気圧されたままです。


コミ0901

コミ0902

もちろん拡大解釈が過ぎるとは、思いますがここで「学校」を出版社、そして○を埋めれば言わんとする事は、一目瞭然です。
そもそもこの物語は、その冒頭からある種過激にそして辛辣に始まります!


コミック0103


これが記念すべき、原作のコミック第1巻1頁目になります。
ちなみにコミックス全12巻を通じて、いわゆるカラー・ページはこの第1巻の、冒頭だけでした。印刷の様子から、連載時のカラーは他にこの次回に当たる、第1話の冒頭だけのような気がします。
このカラー・ページは、実際には読み切りだった訳で、その為に例外的にカラーが多く、載せられていたのでは無いか?とも、考えられます。
この、植芝理一氏は絵柄に非常に凝るマンガ家と言って、良いと思いますがそれだけに、カラー原稿にはとても手間が掛かりそうです。この、読み切りはコミックス収録の便宜上、話数としては第1話ではなく「第0話」とされている事からも、この冒頭の1作が「特別扱い」だったのでは無いか?とさえ思います。
何しろ後半では、「あなたは童貞?」と来て、「わたしも処女なの・・・」と、ヒロイン側から口にされます。その挙げ句に、「~あなたが私の生まれて始めての《(表記はハッキリと英語3文字ですが性交》の相手となる男の子だ~」とここでも大きな夕陽を背景に、語られます。


コミック0105


そして、ヒロインは「今日からわたしは、あなたの彼女よ!」と言って、駆け去ります。
この物語のタイトルで「謎の恋人」ではなく、「謎の彼女」なのは、この為だと言う事です。同時にこれが、この物語が単なる学園恋愛マンガでは無いという、作者の意識の現れだと思います。
現代で在れば彼女ではなく「恋人」でも構わず、一応の青年マンガで高校生であったとしても、意図的な出版社か編集側の圧力でもなければ、唇と唇が触れ合うキスはもちろん、性交だって有りえたでしょう。事実作者は、最終12巻の後書きに、「そういうつもりもあった」と断言しています。
しかし結局、この物語では「この制服の内は」つまり、高校生の内は唇同士のキスも、無しにしようと言う結論で終わっています。もっと一番最初から、《お互いの唾を舐め合う》と言う特殊な関係で始まっていますので、ある意味では日常のキスよりも淫靡さは、最初から遙かに高いとも言えます。

しかも男女共が、お互いに親友同士になるカップルの場合、当然の唇と唇のキスを日常的に行っています。
ただこのカップルのキスは、初々しい高校生同士とは言え、毎度描かれる度に何となくぎこちなく見えるのは、描き方の性か見る側の問題か、微妙なところです。そしてこの二人というか、主人公とヒロインの関係を知っているのは、カップルの内女性の方だけですが、「唾の付いた指先を舐め合う方がよほど危ない」という意見通り、常識的に考えればまさにそこが「謎の」の部分です。
ヒロインに謎が多いというのは、言わば「年頃の女性には秘密がいっぱい!?」という、ある種若い男子の憧れを、具現化したモノなのかも知れません。

主人公は、何度もヒロインの家(高級マンションの様)を訪問していますが、まるで狙ったかのように、常に両親は不在です。
両親が健在である事は、ヒロインがハッキリ断言していますが、それ以外の家族構成。例えば兄妹は存在するのか?などの素性説明は、一切ありません。
高校時代の男子にとって同世代の女子は永遠の謎である種侵し難い存在である!》当初の予定はどうあれ、結果として作者はこの余りにも、非現実的な妄想に近いモチーフを、見事に描き切ったと思います。現代であるが故に当然もっと即物的で、具体的な男女関係が存在する事は、当然の事と承知の上で純愛でも純粋でもなく、ただただ男子にとっての憧れ偶像としての女子像と、それを認めながらも自分の性欲や、異性に対する好奇心もまた、自然と持ち合わせる男子の、単純だけど複雑な胸の内。

その揺れる心が、掛け替えの無い《10代の思春期における純粋さの証》としての、「絆があると信じた相手が居る時に見た夕陽」程美しい夕陽は無いという、この物語のまさに描かれたテーマです。
そしてこれは極めて個人的な、印象かも知れませんが第9巻に掲載されている、第62話から始まる「謎の映画製作(1~7話)」の最後が、極めつけだと思っています。色々あって、お互い別々の意味で振り回されながらも、どうにか映画研究部の文化祭用映画の撮影が終わり、その帰り道。

やはり夕陽でしょうか?しかしいつもなら夕陽は黒く、色付けられていて、周囲はその夕陽を浴びて、光影のコントラストに浮き上がります。
ですがその場面では、いつもよりも小さな丸い天体が、暗い空に白抜きで描かれています。ですので、これは月ではないかと思います。そんな、月明かりの下の暗くなった町を背景に、主人公は断言します。
「~“よだれ”を甘く感じないなんて、おれにとっては」


コミック0903

「世界が滅んじゃったのと、同じだから・・・」
素晴らしい背景シーンに乾杯!


コミック01014

第1巻の最後に描かれた特に意味の無い、見開きページです。
基本はこういう世界観で描く事が、自分の本分だという作者の、
声のような気がします。




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『あんのんブログPart2・HINAKAの戯れ言』です。
本来は、『あんのんブログ・HINAKAの雑記』としてSo-netブログであったものが、So-netブログから追い出されて、ここで新たに構築するモノです。

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