青木幹治氏著の成人指定マンガで青年マンガとの違いを徒然に思う事。




注意喚起!

今回の記事は、以下の《18歳未満購入禁止!》とされる、いわゆる「成人マンガ向け」の内容になります。
もっとも、記事内容はいわゆる《18禁》的な、具体的な描写には触れませんが、掲載されているコミックが「成人向き」つまり、〈男女を問わず18歳未満の購入・講読禁止!〉と言うマンガですので、基本的に「18歳未満の方には意味が無い!」記事内容となります。
もちろん、このブログ運営管理者の定めた、規約等に反する内容の記事や、図版等はもちろん載せません。内容的には、「成人コミック作品と青年コミック作品とは何が異なるのか?」と言うような事を中心に、その他モロモロとなります。

なお当然ながら、このような記事に取り上げる以上は、〈残念なほど淫猥さとは無縁〉の、作品集です。
特に女性の、巨乳やロリータ。凌辱や監禁・調教的な物は、そもそも作品内に存在しない、希有な《成人指定マンガ家》の作品集です。事に取り上げる部分に、猥褻さは皆無と言っても良いような内容です。
果たしてこれで「成人マンガ家」として、やって行けるのか?と余計な心配をするくらい、むしろ不安です。

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〈と言う訳で、構わない方のみ(原則19歳以上)、続きをどうぞ

さて、〈成人指定マンガ〉のお話です。
ですが色っぽい話題も、大胆な構図の淫靡な絵柄も、まったく出て来ません。むしろ逆と言った方が、間違っていません。
第1にこの作品の作者は、ここで御紹介する2冊の〈18歳未満講読・購買禁止、成人指定〉コミックのタイトルの1つが、そのまま、「さよならおっぱい」と言うもので、当然巨乳やいわゆるグラマーな美人も、登場しません。
このような作風の作者が、最近は少なくありません。多くなった原因の一つは、《表現規制》を怖れる出版社や編集部の意向で、昨今の成人指定マンガに、往年の覇気は少なくなり、いわゆるソフト路線が主流となっている証左かも知れません。ただこの作者は、この作者の信念というか思い入れとして、いわゆる「貧乳・微乳・扁平胸(作者曰く『スレンダー』)」ヒロインが跋扈し、ほとんど巨乳や爆乳ヒロインは登場しません。
それ自体をネタにした内容の作品は、逆に多いのですが‥‥‥。

その結果、作者自身が後書きで「本当はこうなる成り行きを、もっと描き込みたいのだけれど、そうすると〈青年マンガ〉に、なってしまうから~」と記していますので、この辺が問題の《青年マンガと成人指定》の境だと思えます。
おかしな話しですが、〈青年マンガ〉では、表現方法はともかく直接的な性交描写はもちろん、性器の露出も御法度の上に、掲載誌1冊分に付きその作品が全体で何頁あるのかにより、何頁まで性的描写を行って良いのかまで、規定されています。逆に〈成人指定マンガ〉は、その1作品に何頁以上の淫らなシーンを入れろと、指示されている事が大半です。

分かり易く言えば、一般誌であったなら(だけの)のキスも含めて、性的な描写は「無い方が良く」逆に成人向け指定マンガ誌の場合には、「可能な限り過激にあった方が良い」とされています。
極論すると「無駄でも何でもリアルな性交シーンを描く事が大前提!」で、物語の質やマンガとしての完成度など、有っても無くても構わない!的な、考えです。で有りながら、「猥褻物陳列罪」と言う刑法の規定から、「直接性器を描く事は如何に成人向けでも御法度」となっています。

男性の場合はその男性器を、女性の場合も同様ですが、なぜか《リアルな胸の描写》も猥褻物と規定される、謎があります。
ちなみに、物語の内容如何は問いませんので、「乳児に乳を含ませる母親のシーン」も、同じ作品に他の性行為及び類似シーンが有れば、キッチリと猥褻物に含まれます。そんな中でレッキとした、成人指定マンガでありながら、むしろ青年マンガ的な表現が得意というか、単純に結果としてそうなってしまうだけなのか、ハッキリした具体的な事は分かりません。
ただ、1作品の半分以上が性交シーンで占められながら、ほとんどそれは印象に残らない作品。そんなある種現代的な、成人指定マンガの描き手が今回御紹介する《青木幹治(あおき・かんじ)》氏です。

御自身も認められているように、余り絵が上手い!とは言え無い絵柄ですが、その分「これは成人マンガだから」という、あからさまな手抜きのような省略(背景をコピーの切り張りそのままにするなど)は、少ないようです。
むしろ物語勝負!的な、極めてこのジャンルでは不利な作品を得意?としています(本当かどうかは、わかりませんが‥‥‥)。
そしてその典型として、正直久しぶりに成人指定マンガで笑ったのが、結果としてコミックの番外編も含むと、全9作の連作となる、『節子さんシリーズ』です。このジャンルでは非常に珍しいのですが(珍しいですよネ?)、何と1話毎に主人公とヒロイン二人が、時系列で成長して行きます!
具体的には、高校生で始まり大学生になり社会人になり、何と!結婚して夫婦になり最後には小学生の子供までいる!!という、本当に珍しい展開の物語です。もちろんそういうジャンルですから、1話毎に濃厚な性交シーンがありますが、主に《コスプレ》が中心で、しかもヒロインが「~語りたがりで(中略)奇天烈な話しを聞かされる」という、かなり微妙な設定です。
ただ作者としては、シリーズとして描いた〈物語〉の中で自然発生的に、「気付いた!」事として、テーマが《キャラの行為》から《キャラの関係》に移ってしまった!!事が問題かも知れないと、書いています。

これはつまり「エロ漫画」とは、キャラの《行為》を描くもので、当然その中でのキャラ立ちと呼ばれる、《マンガはキャラで決まる!》と言う、物語マンガに必須の要素と言われる部分を、「エロ漫画」に限っては無視しても良い!と、断言しているようなものです。
そして当然ですが、いわゆる〈成人指定マンガ〉のテーマに、物語性を求めるな!という問題が、ここに簡潔に現れます。〈キャラの関係性〉を無視あるいは限りなく薄くした、物語(ストーリー)マンガでテーマを語らせる為には、それ以外の部分を限りなく描き込むという、マンガ以前の絵と物語構成に対する、半端ではない緻密さ精度の高さによる、全体の完成度が当然のように要求されます
これはマンガとしては、より高みを目指す茨の道と言え、多くのキャラを立てずにマンガを描こうと志した(のか、結果としてそうなったのか?)、多くの若手を弾き飛ばすし、キャラ頼みの普通のマンガ(キャラの絵としての魅力はもちろん、キャラ同士の関係性も重要です!)か、あるいは多くは画力の問題で「エロ漫画」へと、ある種の必然で流れて行くとも言えます。

そしてここに、非常に珍しく「シリーズとしての物語の必然性で、キャラ同士の行為からその関係》へとテーマがシフトした、珍しい「エロ漫画」が、誕生した訳です。


その流れから言えば、当然なのかも知れませんが、サスガに次の社会人同棲時代編の、冒頭シーンには驚かされました。

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150215青木01

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実はこの場面には、伏線と言うべきか前フリと言うべきか、以前の作品で同様の場面が有りました。


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150215青木09

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〈それでは、この両者の顔のアップを、比べてみます〉

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150215青木10・2

150215青木02

〈上が「~冷たい目~」下が「~熱の籠もった目~」だ、そうです〉

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同じ様なシュチュエーション(背景)で、全く異なる眼差しのハズだったんですが、どうでしょう?
余り違いは、感じられない気がします。結局は、この作品の本質である「コスプレ」つまり、衣装で差違を演出しているという事が、良く分かります。

それだけに、最初に揚げた「ウェディングドレス」のインパクトは、かなりのモノです。
当然物語の内容も、それに添って展開して行きます。

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150215青木05・2

150215青木04・2

150215青木06

〈いやはや、ここまでハッキリ言われると、いっそ清々しい
というか、男は辛いネ!と、思っちゃいます〉

150215青木07・2

〈この一言だけで、充分です!

150215青木08・2

〈正直、本当にこのセリフと場面には、ヤラレタ!

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この部分に、コスプレ用のウェディング・ドレスを着たままの彼女との、成人指定の義務であるシーンが、入ります。
その時ようやく男の方は、このドレスが本物ではなく、コスプレ用の安物という事に気が付くのですが、その時の彼女のセリフは、「当たり前でしょう?本物がいくらすると思っているの!?」でした。ただし小声で、「安いモノは安いけど‥‥‥」と、呟いてはいますが。
サスガに他の衣装とは違って、色々やってはいますが、ドレスには汚れや破れはありません。やはり、これは特別なモノなのでしょう。例え、《コスプレ》だとしても‥‥‥。

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150215青木16・2

150215青木15

〈ダブりでも、順番間違いでもありません。この
場面での彼女のセリフが、文字通り泣かせるモ
ノだったので、思わず1コマだけ抜いてみました〉

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150215青木18・2

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150215青木19・2

〈ここは番外編なので、「成人指定マンガの義務
は、無いようです。上のシーンは、娘に昔のコスプレ衣装を着
ていたところを、目撃された場面です(二人の高校は男女とも
ブレザーでした)。しかも、チャンと子供まで育っている。成人
マンガとしては、かなり珍しいパターンです。更にさり気なく、
家族だけに執着する現代家族の問題も、話題にしています。〉

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この作品は、「成人指定マンガの義務」を果たす為に、日常的な課題や問題を常にいとも易々と、乗り越えています。
ある意味では、その義務さえ果たしてしまえば何を描いてもいいという、このジャンルの原則を逆手にとって、通常で有ればまず有り得無い男女関係を、高校生時代編で物語の前後を簡単に切り落として、結論だけ見せています。このお話に限らず、この義務の為にこのジャンルの作品は他の友人どころか、家族さえ描かないのが普通です。と言うか、読みきりでそんな事を描いている暇は、ありません。

もちろんその皺寄せ(しわよせ)は、主人公やヒロインにも及びます。
「なぜ彼を好きになったのか?」などという、少女マンガ的な肉体的関係以前の精神的問題を、語っている余裕はありません。そんなモロモロの問題を、この作品も連作ですが持っています。しかしそれを最初の時点から、彼女の突飛な性格と考え方。
そして主人公である、彼の方もまたそれを受け入れる鈍さというか、寛容性が有るとする事により不自然なくらい自然に、彼と彼女の物語にしてしまっています。

通常の場合、物語として考えたらいくら大学生という年齢でも、「同棲(同居)」というのであなれば、ドラマの1つや2つは簡単に出てきます。
それなのにキッカケらしいキッカケも、発端らしい発端も無く次の回では唐突に、それが当然のように同居しています。そもそも女性の側から考えたら、このいかにも平凡で将来不安定な男と、なぜ同棲できるのか?またその同棲に至る少し前でも、避妊や病気はもちろん、日常の生活や経済事情を考えるだけでも、良く言われる「日常ドラマ」のネタが次々と浮上します。
さらにこれらをバッサリ切り捨てて、いきなり「同棲(同居)」している男女という状況から入るのが、まさしく「成人指定マンガ」の在り方です。日常的な「生活」の問題など彼と暮らす意味と意義は、余程女性の側に理由が無ければムリでしょう。
この強引さが、〈成人指定マンガ〉の常套手段です。「設定」や「前フリ」などそんなモノは1頁か数コマまで済ませて、さっさと《18禁》的行為に入る事が求められるのが、本来の「成人指定マンガ」の在り方とすら、言えるでしょう。なので極端な話し、オチが無くても構わないのです。
作品や作家的な問題意識はともかく、マンガ誌の方向性としては特に具体的なエンディングは、予定も期待もされていないと判断できます。
しかしこの作家の作品は、例え数コマでも数頁でも発端を描き、過程を描いた上で本番を描きます。その上で、必ずその時の締めとして、用意されたエンディングへとまとまって行きます。これが、「成人指定マンガ」として、またそれを描くマンガ家として、非常に希有だと思います。
そしてその〈典型的で具体的で分かり易い例〉が、今回取り上げた「節子さんシリーズ」だと思います。

完全に「成人指定マンガ」として描きながら、限りなく通常の「青年マンガ」に近付いて行く。
これは、本来「目的の為には手段を選ばない!」姿勢の「成人指定マンガ」に対して、「いかにして目的に到達するのか?その手段を描く!」べき実際の青年マンガに対して、その手法という点ではほとんど見劣りはしないと思います。
ただし、通常マンガを描く為には、キャラクターも含めもう少し込み入った絵を、この作者は描く必要があるとは思います。

そして本来、このジャンルでは正常な「恋愛」を描く事は、極めて難しいのですが1話毎に成長させる事により、常識的な二人の男女問題を何となくダシに使い、何となく解決させて先に進めてしまいます。
早々使える手法ではありませんが、彼の非凡とも言える凡人ぶりと、彼女の詳しくは描かれてはいない、ある種見当ハズレの突飛な発想と行動力を。非日常的な知的能力の高さと実行力へと、これまた何気なく描き出しています。

本当に、彼女の口から「愛しています!お嫁さんにして下さい!!」と言うセリフが出るとは、完全に意表を突かれました。
常識的には、どう考えても釣り合いの取れない彼と彼女ですが、彼女自身がその結婚の話しの中でしているように、「情が薄いので、あなたと幸せにならないと思ったら、すぐに離婚届に判を押すから、安心してちょうだい」と、言う事なのでしょう。同時に、非凡なほど平凡で取り柄のない彼だからこそ、彼女のような優秀でも面倒で、複雑な思考回路を持った女性でも、深く悩まずに受け入れてくれるという自信と確信。実はこれが、この物語の中の「愛情」だったのだと思います。

その証拠は、最後に出てきた二人の娘と、その娘可愛さに溺れるでなく、突き放すでなく妥当な距離を取りつつ、当然のように夫婦間の関係にも、適度な距離と愛情を維持し続ける事が出来ると、彼女は断言しているのだと思います。
この調子なら、きっと娘の弟か妹が近い内に出来ても、同様に適度なバランスを取り、まるで他人事のようにいつもの口調で、彼女は彼に延々と話して、聞かせるのでしょう。気に入ったカップルは、同じ作者の他の作品にも、もちろん他の成人向けマンガでも、出会っていますがこれほど清々しく且つ、結果的にこちらまで楽しくなるような関係は、このジャンルでは個人的には初めてだと思います。

意識的にこの両ジャンルを、描き分けている作家は多くいますが(甘詰留太氏やかかし朝浩氏などが有名です)このようなタイプの方初めてなので、今後を大いに期待したい!ところです。



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『あんのんブログPart2・HINAKAの戯れ言』です。
本来は、『あんのんブログ・HINAKAの雑記』としてSo-netブログであったものが、So-netブログから追い出されて、ここで新たに構築するモノです。

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