アニメ版『ガンスリンガーガール』について・・・!!(1期・2007年07月05日―改訂版)




願わくば、吐き気と気分の悪さに堪えながらもなぜか毎週見てしまうアニメのTVシリーズというのは、個人的にはこれが最初で最後であって欲しいと切実に思います!
アニメ版『ガンスリンガーガール』、アニメ作品として出来は、絵や動きやセリフも含めて、実に良く出来ています。全13話のTVアニメ・シリーズとしては、間違いなく傑作の1つだと思います

特にオープニングなどは、劇場版『銀河鉄道999』や『幻魔大戦』で知られる、りんたろう氏が担当しています。恐らく、御本人は物語の本質を知らずに、お作りになったのだろうと、思います。ですが、実に見事な出来映えです。文字通り、正義のために銃を取って戦う少女達という雰囲気が、ビンビン伝わって来ます。
そして、最後に戦士の休息。そう、ちょうど下の絵のような感じです。



アニメ・ガンスリ01

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日本語ヴァージョン



アニメガンスリ21

GUNSLINGER GIRL IlTeatrino-Saison2
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この作品の特筆すべき点は、まだ原作マンガが連載中でありながら、見事に13話で完結しているところにあります
しかも、この物語の本質を余すところ無く、場合によっては原作マンガ以上の精神的残酷さと政治はもちろん人間性や生命に対する皮肉を、描いているところです。もちろん残虐描写は、原作マンガ以上に規制の掛かる、TVアニメですから、マンガよりも描写が酷いと言うことはありません。それ以上に、ある意味演出が非情なのです


この先は当然内容に触れますし、あらゆる意味で少女をこよなく愛される方は、先を読む時は充分に注意して下さい







GUNSLINGER GIRL
第1期・第1話




主題歌はこちらが放映版です


既にマンガ原作のところで述べたように、主人公の少女達は皆洗脳され過去の記憶を無くし別の記憶を与えられた上に人工的な肉体を与えられています
原作マンガのところで、うっかり触れるのを忘れたのですが、この物語のもう1つの残酷さに、それら人工的な処置を維持するための薬物依存症があります。とにかく多量の、それも山のように副作用や問題のある薬を、常に必要としています。

彼女達は人工の体ですから、当然と言えば言えるのですが、成長しないことはもちろん、この多量の薬の副作用もあって、寿命が異常に短いのです
これを、社会福祉公社では、「消耗が早すぎるのも、問題だ。民生用に転換できないと、いけないからな」と言っています。あくまでも、モノ扱いです。
そしてそれ以外の症状としては、まず日常的に起こることが、条件付けられたこと以外の、記憶の欠落です。昨日のことも忘れてしまうことは、マンガ原作のところで触れた通りです。
それ以外の症状には個体差があるようですが、ともかく条件付けを優先するためにそれに反する行為や発言はできません
というより、反する!ということを、言ったりしたりするということが基本的にはできないか、もしくは激しく肉体的負担を伴うということがあります。これらについての専門的な見解は「擬体は、まだ開発途中なんだ。これからは、少しずつ良くなって行くさ」とのことです。
これに対して、自分の担当する少女が壊れて行く様子を、見かねた担当官が「先の、他の擬体の、話をしているんじゃない!この娘は、どうなるんだ!?」と詰問すると、専門家は冷酷に言い放ちます。「貴重なサンプルを提供してくれたんだ、それでいいだろう?」もし擬体化しなければ、数日を経ずして死んでいた。
それが対テロ組織のメンバーとして活躍し、さらには擬体の問題点を明らかにし、次への課題を残した。これほど、立派なことがあるか?ある意味、正しくあるように聞こえますが、人体実験の偽善である事に変わりはありません。ですがそれを公然と行うなうところ、それが「社会福祉公社」なのです。




第1期・第2話


既に述べたとおり、このアニメ作品は見事に13話で完結しています。
もちろん、原作マンガの方はまだまだ続くのですが、アニメ版は実にきれいに区切りを付けています。そして、その区切りの付け方が、マンガ原作とは全く逆のように思えるのです

アニメ版は、ほとんど何も原作マンガの内容を、変えてはいません
変えたのは、物語の順番です。そして、その結果それは最終回に、この物語の持つ意味を、見事に大逆転してくれたと、個人的には思っています。
と同時に、このアニメ版は原作に描かれているにも関わらず、それほど強調されたとは思えない善悪の逆転。アンチ・テロリストと、本物のつまり信念を持ってテロを行う者との、皮肉な共通性を同じ描写でありながら、強調して見せます。

この物語には当初から、ある意味で信念を持ち、テロの持つ意味と結果
それがどう評価されるかを承知の上で、それを行う1組の若い男女ペアのテロリストを描いています。男性の方は爆弾作りの天才ですが、彼には何の特筆すべき信念はないようです。ただ自分の存在意義は、爆弾作りにしかないと、自覚しているようにだけ見えます。
女性の方は、原作マンガでは父親を現政権に謀殺された事実が、見事に隠蔽され闇に葬られたことに、正当な手段での抗議を諦めて、テロ行為に手を染めている。と、ありますが、実はアニメはその物語が描かれる場面まで行かずに終わってしまいます





第1期・第3話


ですから、彼女達は現政権に対する抗議手段を、爆弾に託することに信念を持つ、1組の若い男女として、描かれています。
考えを同じくする者と手を組み、組織に入らなければ爆発物の材料1つ取っても、入手が難しいからか、彼女達はあるテロ組織に属しています。その為にはやる気のない、やる意義を感じないテロに使う爆弾も作らざるを得ません


ただ、そんな時に彼女は言い放ちます。
「爆弾は作るし、約束通り渡しもする。でも、その後のことは知らない」
そしてあるグループに頼まれて、爆弾を用意はしたけれど、全く気が乗らない時にはこう言って憚りません。
「ああいう馬鹿には(中略)偽物でも、くれてやればいいんだわ」

そして、受け渡しの時間と場所に行ってみると、既に主人公達によって、そのグループは壊滅させられようとしていました。
現場のただならぬ雰囲気を感じて、帰ろうとする彼女に男が聞きます。
「いいのか?」
彼女は、平然と答えます。
「何で私達があの馬鹿のために、危険なマネをする必要があるの?むしろ、これで爆破されなくて良かったわ」



おいおい、彼女は本当にテロリストか?と、思う間もなく翌日、爆破されるはずの場所で彼女は、主人公の女の子の1人と偶然人混みでぶつかります


「大丈夫?」
「はいッ!」

平凡な挨拶の後、走り去る少女を見ながら、彼女は呟きます。
「バイオリンケースに、正しいイタリア語の発音。ああいう娘こそ、私達が守るべきものなのよ」
もちろんそのバイオリンケースには、女の子の手には大き過ぎる、マシンガンが入っているとも知らずに・・・。

この場合、テロリストとはどちらの事を、言うのでしょうか?






第1期・第4話


実は、これは知り合いからの指摘でもありますが、この作品は元の原作マンガから、かなり絵的な無理があります。
そもそも、少女の手には大きすぎる銃を持たせるため、不自然に手が長くなるか、不自然に銃が小さくなります。それも、最初から彼女達の体型に合わせて、小さく作ってあるなら納得もできますが、手渡す直前までは通常の大きさだったりします。

さらに、確かに擬体ですから、両手でマシンガンが撃てても、不自然ではありません。
しかし意味もなく、直前に右手で撃っていた銃を、直後には左手で撃つというようなシーンが、特にマンガ原作にはよく登場します。銃に詳しい方は御存じかと思いますが、概ね銃というモノは右利き様に作られています。もちろん、拳銃などは左手で撃つことも可能ですが、機構上左手で撃つことは不便です。マレに、どちらの手でも撃てたり、あるいは左利き用の銃というのもありますが、数も種類も圧倒的に少ないと思います。
結果的に言えば、このマンガ原作者は〈格好良ければいい〉のだと、思います。そして、女の子も可愛ければいい。銃も女の子も、同じ画面上の小道具に過ぎない。それが、このマンガ原作の特徴だと思います。

そんなマンガ原作の在り方をアニメ版は最終回で見事に覆します
マンガ原作にもある、流星群の観測会。一度は無理かも知れないと言うところを、担当官の仕事の山、フランス語とドイツ語の膨大な資料を、イタリア語に翻訳する作業を女の子が手伝い、見事に終わらせます。

そして、見晴らしのいい場所で、流星が次々流れては消えるのに、感嘆の声を上げます
実はこの時、薬物の依存症が進み数分前の事も忘れるようになった、末期の仲間にベートーベンの「第9」、いわゆる「歓喜の歌」を聞くように渡しています。その娘が、病院の窓から星が流れるのを見て、その歌を聴く頃、観測会に出掛けた仲間達も、一斉にその「歓喜の歌」を歌い始めます。

そうです《喜び》の歌です。
同時に、《希望》の歌でもあります。TVアニメ・シリーズは、13話をかけてマンガ原作の《救われない話》を《喜びと希望》を抱かせる物語として、完結させたのです。このラスト・シーンは、本当に秀逸です。

原作はお薦めしませんが、アニメ版はお薦めです。
但し全13話を最後まで、見続ける自信のある方に、限ると思います。ただこのアニメの続編である、GUNSLINGER GIRL IlTeatrino-Saison2同じものがなぜこうも違うものになるのか?という、アニメ作品における演出・シナリオ等の構成に興味のある方以外には、お薦めしません。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


2007年当時の記事を、ほとんどそのままで使用していますので、「テロ」や「無差別乱射」など言葉の意味が、かなり違う時代になりました。
たった10年ほどで、ここまで言葉の意味が、変わるとは思いませんでした。








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本来は、『あんのんブログ・HINAKAの雑記』としてSo-netブログであったものが、So-netブログから追い出されて、ここで新たに構築するモノです。

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