『コアマガジン社摘発事件』から、自民党・平沢勝栄議員による「児童ポルノ禁止法所持表現の規制問題」を説く。
「児童ポルノ禁止法案で漫画を規制するべき」と同法に関わった平沢勝栄議員(自民)がWEB番組で明言。
「アグネス・チャン氏も大賛成」(平沢)。平沢氏は漫画家と出版社社長が逮捕された「松文館事件」を仕掛けた元警察官僚。当該発言は6分以降。
2013年06月21日・07時46分
「児童ポルノ禁止法改正案」に関して、
「漫画切り離して」山田太郎氏VS、
「単純所持規制も」平沢勝栄氏(マンガ)
自民・公明・日本維新の会の3党が今国会に提出した児童ポルノ禁止法改正案が議論を呼んでいる。
主な争点は、子供のわいせつな写真などの「単純所持」を禁止し「1年以下の懲役、または100万円以下の罰金」を設けたことと、検討規定として漫画やアニメと児童の権利を侵害する行為との関連性についての「調査研究」を盛り込んだことの2点。
法案を提出した自民党の平沢勝栄衆院議員と、反対するみんなの党の山田太郎参院議員に聞いた。(磨井慎吾)
《山田太郎氏・参議院議員》
・漫画などは切り離して
--改正案のどこが問題か
「3点ある。1つは単純所持の禁止。もちろん児童を被写体とした画像や写真などの製造配布は、取り締まらなければならない。だが所持自体を禁止すると、摘発など捜査機関の裁量によるグレーゾーンが大きく、問題がある。運用に気をつけるから大丈夫だと言うが、実際に単純所持を違法とした韓国や米国、英国などの諸外国では、さまざまな冤罪(えんざい)が増えた。たとえばわが子への授乳写真が児童ポルノと判定され、逮捕されるような例が現実に何件も起きている。2点目は、画像の流通阻止のためとして、ネット事業者に捜査機関に協力するよう努力義務を盛り込んでいる点。ウェブサイトへの実質的検閲につながる懸念がある」
--3点目は?
「最大の問題は、アニメ・漫画の規制を見据えた『調査研究』が盛り込まれている点だ。法案の検討規定では、漫画やアニメが児童の権利を侵害する行為と関係があるかを調べ、3年後をめどに規制など必要な措置を講じる、としている。だが、児童ポルノの被害者になった実在の子供の人権を守るというのが法の趣旨なのに、実際の被害者が存在しない漫画やアニメの話を盛り込むのはまったく筋が違う話だ」
--なぜ抱き合わせではいけないか
「被害児童の写真の流出を防ぐというのが本意なら、漫画などの規制にからむ部分は切り離して、別の法案として出せばいい。もっとも漫画・アニメ大国と言っているわが国でそんな法案が出れば、国際的な物笑いの種になるだろうが。それを児童ポルノの単純所持規制と抱き合わせた形にして通そうとするのは、どさくさまぎれに自分たちにとって不愉快な表現を規制したいという意図があるのかと疑われる。そもそも創作物の悪影響を危惧するのであれば、漫画は対象なのに小説は含まれないというのも本来は理屈に合わない。この法案が通れば、架空の創作物に対して規制の網が広がっていく恐れがあり、文化の衰退につながる」
--改正案提出の理由として欧米などの「国際的動向」が挙げられている
「実写の児童ポルノの単純所持に関しては欧米の多くの国で規制されているが、少なくとも漫画・アニメ規制の国際潮流はない。実写と創作物を混同した議論がなされていないか」
--規制強化を求める市民もいる
「この問題は、年配世代が自分たちに理解しがたい若い世代の文化を規制したいという世代間闘争の面がある。だが国は、漫画やアニメを海外に発信する『クールジャパン戦略』を進めているのだから、やたらに規制をかけたりせず見守るべきだ。国家が文化に対し、あれはいい、これは悪いと介入すべきではない」
◇
《平沢勝栄氏・参院議員》
・単純所持の規制も必要
--漫画が対象の検討規定は、被害児童の救済という立法趣旨から外れる
「実在児童の人権救済とは関係ないが、海外では漫画も規制対象だ(引用者註:論拠不明)。漫画やアニメに影響されて青少年らが性犯罪に走る例も、警察の資料によれば実際にある(引用者註:「科学的な根拠無し」が現状。警察にあるのは、自白調書)。可能性が否定できない以上、規制の話が出るのは当然だ(引用者註:可能性が否定できない以上「包丁は台所から持ち出しに禁止にすべきだ!」事実、年間殺傷犯罪で使用される凶器の多くは家庭用の包丁類)。日本がこうした漫画の輸出国と批判される状況も踏まえ、漫画などの規制についても検討する規定は入れた方がいい」
--青少年を正しい方向に導くという目的もあるのか
「当然ある。成人向け漫画だから大丈夫というが、日本は欧米と違い、区分陳列が徹底していない。またネットを通じてもアクセスできる状況だ」
--「表現の自由」の侵害を懸念し、漫画家や出版界からの反対が多い
「反対の声はあるが、実際には規制を求める国民の方がはるかに多い。私の所に送られてくる漫画の現物はひどいものだ。表現の自由は大事だが無制限でなく、社会的制約がある。こうした漫画が文化や芸術といえるのか。社会は有害図書だと判断すると思う。騒いでいる人間は、親としてこれらを自分の子供に見せていいと思うのか」
平沢氏の最後の一言は、いわゆる規制推進派の常套句ですが、良く考えた方がいいと思います。
世の中には、それを職業として自分や自分だけではなく親子兄妹を、経済的に支えている人もいるでしょう。また、家計の問題ではなく、「自分の主義や主張や、表現したいテーマの見せ方の手法」という、作者としての自主・自立・自尊。そして思想や思念の発露という意味も、無視は出来ません。
特にこういうジャンルでは、いわゆる「体制批判」や「大手マスコミ非難」など、非ジャーナリズムとしてのアンチ・テーゼという位置付けは、覆せません。
けれど、それと家庭や家族という係累に、何の関係があります?
この主張は、「殺人犯の子供は所詮殺人犯の子供に過ぎない!」と言っているのと、ほぼ同じに思えます。
親の貴賤職業が、子供や他の係累に「影響してはならない!」これは、当然のような近代民主主義の理念の一つです。
どうもこの問題になると、「表現の自由」と同時に「思想信条の自由」ばかりか、「職業選択の自由」という、いわゆる最も大切な大原則《基本的人権》を無視する発言が、平然飛び出します。
ではなぜ同じ言葉を、アイドルや有名人スキャンダルの、でっち上げ記事やデマの拡大報道を、平然と行う記者やリポーターに向けないのでしょうか?
冤罪を産み出した警察や検察関係者、誤審を下した裁判官や弁護士の関係者に、なぜ言わないのでしょうか?もちろん最初の大原則に戻れば、言わない事こそ《近代民主主義の根本理念!》なのですから、言わないのが当然です。
ならばなぜ、マンガやアニメのポルノ表現的なものには、平気でその言葉が使われるのでしょうか?
本当に不思議な事ですが、「犯罪を行った受刑者」と「犯罪を描いた創作者」は、全く異なるモノである事は、既に明白で明解な事実です。
恐らく、この事に異論を差し挟む人は、極少数でしょう。にも関わらず、所詮基本は二次元表面に描かれた、「絵」に過ぎない創作物の作者に、その内容に関してあらゆる意味で、どんな罪が問えるるのでしょうか?
この根本的且つ、素朴な問題から世間の目を逸らし、何等かの政治的個人的な実績作りのために、血眼になっている「善良と言い張る」人々が、未だに絶えない事が不思議でなりません。
厭なら、観なければ良いのです。自分の厭な事を、国家権力で他人に強制したり、他人の趣味を国家権力で取り締まるなど、どう考えても《近代民主主義国家》で、卑しくも政治を司る者が、行うどころか口にすらすべきでは無い、事柄だと思います。
theme : 児ポ法・メディア規制に反対です!
genre : アニメ・コミック