「全国大会編?」放映終了のTVアニメ・シリーズ『響け!ユーフォニアム2』について徒然(つれづれ)に・・・〈その2〉
『響け!ユーフォニアム2』の第12話「最後のコンサート」は全国大会編?と、言えるでしょう。
そしてこの〈全国大会編〉は事実上、既に知られているようにこの最大の話題に関して作品として実に驚くべき表現手法に出ました!何と肝心要(かんじんかなめ)の、全国大会演奏シーンが全く描かれていないのです!!
確かに既に素晴らしい演奏シーンを、見事に第05話「奇跡のハーモニー」(関西大会)で描いているのですから、これを超えるシーンはまず現時点では無理でしょう。
恐らくそれを承知の上で、最高の演奏シーンを05話に持って来たのだと思います。分かりやすく言えば、ここまでは「吹奏楽部の物語」だったのかも知れません。そしてそれ以降は、「吹奏楽部員達の物語」いわゆる学園青春ドラマに、この物語は完全に軸足を移したのだと思います。
そう、この全国大会!を含めて。
〈沿革〉
全日本吹奏楽コンクール(ぜんにほんすいそうがくコンクール、All Japan Band Competition)は社団法人 全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催し、毎年開催するアマチュア吹奏楽団体を対象とした音楽コンクールである。
1940年に同新聞社が創設したが太平洋戦争で中断、戦後は1956年に再開された。本大会は、日本の吹奏楽界では最大規模の大会である。
〈大幅中略〉
《中学・高校の部》
中学の部・高校の部の全国大会は、愛知県名古屋市熱田区にある名古屋国際会議場センチュリーホールで行われる。
(普門館時代は略)
〈名古屋国際会議場センチュリーホール時代〉
名古屋国際会議場センチュリーホールが初めて会場として使用されたのは、第53回(2005年)大会である。この時は、立正佼成会大聖堂の改修事業に伴い、大聖堂の代替施設として普門館が利用されたことに伴うものであった。
第60回(2012年)大会からは、前述した普門館の使用停止に伴い、当ホールが全国大会の会場として使われている、2019年度までは名古屋市で開催が決定している。
〈以下大幅略〉
《審査(大幅略)》
2013年度よりこの審査方法は、大きな変更がなされている。
課題曲自由曲を通して、ABCの3段階の評価を審査員が付け、Aが過半数なら金賞、Cが過半数なら銅賞、それ以外は銀賞という、非常にざっくりとした方式に変更された。その結果として自由曲偏重の評価傾向が色濃くなり、課題曲の存在意義が問われている。
さらに、「会報すいそうがく」での点数の公開が廃止されたことにより、全体の採点結果は限られた中枢人物のみが知ることとなり、更なる審査の不透明さが指摘される事になった。 その中枢人物の中に、コンクールに出場する当事者も含まれているなど、昨今の体制に対する不満の声は大きくなっている。
現在のように金賞・銀賞・銅賞のグループ表彰になったのは第18回(1970年)大会からで、第17回(1969年)大会以前は1位・2位・3位・・・の順位制であり、1位の団体には優勝旗が授与されていた。 審査の透明性を出すためにも、かつての順位制への復帰を望む声は多い。
《課題(一部)》
上述のように部活動としての吹奏楽への注目、知名度が高まったことで、従来から高校入試にあった吹奏楽推薦のほか、普通科吹奏楽コースを設置する高校が増え、音楽活動としての吹奏楽がコンクールでの入賞至上主義へと変質してしまうことへの危惧の声が一部にある。
〈後略〉
よし様の『それ教えて!(リンク済み)』記事より引用させて頂きました。
『全日本吹奏楽コンクール2016「全国大会」結果速報!金賞は?(リンク済み)』より一部抜粋。
「吹奏楽コンクールでつねづね思う不満・雑感(リンク済み)」
〈前略〉
悲喜こもごもな結果となったであろう、今大会の結果をみて、あの常勝校が銀賞??と思う団体がいくつもあります。
これは今年に限らず、毎年多かれ少なかれ同じような傾向となっています。
「A校がこれで金賞ならば、銀賞のB校だってどう聴いても金賞なんじゃないか?なんで銀賞なんだ?」
「C校って毎回当然のように金賞だけど、ここのサウンドいつも低音が薄すぎるよな?」
「審査員の中でも、演奏前から吹奏楽強豪校のイメージが先行し過ぎではないか?」
「あんなにいい音してるのに、銅賞なんて納得いかない。」
「学校の知名度が低いと、どんなに良い演奏でも銅賞なんじゃないか?」
ざっとこんな感じでしょうか。
実際に、金賞と銀賞の団体を聞き比べても、技術的な差は無いと言っていいと思います。あったとしても、ごくごくわずかな僅差しかありません。
音の表現方法やイメージが、審査員全員に上手くアピールできたかイマイチだったか。その部分に左右されていると思われます。
審査員ももちろん感情を持った人ですから、音楽の好みもあります。いくら公平を期したとは言うものの、その中に自身が持っている好みの音楽イメージは必ずあるはずで、それは止むを得ない事です。
ですから、その時の審査員それぞれが求めている音楽観と、演奏団体の表現しようとしている音楽観が「近いか離れているか」は、結果に大きく左右します。
要するに、審査員が誰なのかと言う、「運」の問題も大きいのです。
ですがそれを前提としても、特に銀賞に終わった一部の演奏団体については、果たして正当な評価だったのか否か、少なからず疑問が残ります。
逆に金賞団体の中でも、サウンドに厚みがなく低音がいつも弱いなと感じている某団体が必ずゴールド金賞を獲得するのも、個人的にはとても不思議です。お分かりになる方は、すぐに「ああ、常連の○校ね」となるかと思います。
※ゴールド金賞・・・吹奏楽コンクールの結果発表時に、金賞と銀賞が聞き取り難いため、金賞団体には「ゴールド金賞」と発表するのです。
〈以下略〉
というように、やはり全国は甘く無いと言うか、常連・強豪校圧倒的有利という現実は、フィクションの世界でも逆転は難しいという事でしょうか?
結果として、物語の中の北宇治高校・吹奏楽部は、参加賞ともいえる「銅賞」でした。とにかく芸術の採点は、難しいと言う事でしょう。
数字が全てを決めるハズのスポーツ競技でも、体操・新体操やフィギュア・スケートの様にその評価要素に、「芸術点」が加わると、途端に誰の目にも明らか!とは言えなくなる事は、近年のフィギュア・スケートも体操も従来の採点方法から、大きく変わった事は御承知の通りだと思います。しかも、それでもまだ現在進行形で常に採点方法が見直されているという点から言っても、技術レベルが拮抗した芸術評価の難しが良く分かります。
この点は再三再四、物語の中でも語られています。
「音を楽しむと書いて、音楽!そこに金銀銅なんてものは無いと、思っている」と、敢えて吹奏楽部員達に言った臨時コーチの言葉は本音でしょう。ですが「それを言えるのは勝者だけ、敗者が言っても負け惜しみにしかならない」という、シニカルな表現をする部員もいます。そして、「結局、出るからには〈金がいい!〉ッて事でしょう!?」と言う、先輩の強引なまとめ方が何だかんだで的確なのだろうと、思わせます。
結果として銅賞だったとしても、演奏が終わり受賞の発表まで時間がある中、全ての部員はサバサバしたもので、「やるだけの事はやった!」感が伝わって来ます。
そして同時に、それまで大会目指して棚上げにして来た各個々人の問題が、頭をもたげて来る段階になったのだと、3年生の「うちらはもう関係無いッ!」という態度と共に、ジワジワト広がって来た感じがします。
theme : 響け!ユーフォニアム
genre : アニメ・コミック