TVアニメ・シリーズ『COP CRAFT(コップクラフト)』銃で撃つのと剣で切るのは、どちらが野蛮で残酷か?
TVアニメ・シリーズ『コップクラフト』
オープニング映像[期間限定公開]
コレは、なかなか究極の命題です!
実際、銃で犯罪者が手に持つ拳銃を狙って撃つのが、日本の実写やアニメを含む〈フィクション〉の、お約束です。しかしコレはかなりの凄腕で、まず拳銃に実弾を当てると言うのは、偶然以外では事実上不可能と思われます。
次に銃を持つ相手の掌自体に銃弾が当たった場合、コレも神業並みの腕前ですが、日本の警察を筆頭に治安機構が使う拳銃の弾は、基本的に弾頭の鉛が露出した所謂(いわゆる)ホロー・ポイント系の銃弾です。コレは何も日本だけでは無く、先進各国の司法機関が使う拳銃の特徴です。理由は簡単、万一何かに当たっても貫通して、その背後に有る別の何かに、2次的な被害が起こる事を避ける為です。
この為、犯罪者の肉体に命中した弾頭は、所謂「マッシュルーム効果」と呼ばれる弾頭が潰れる現象を起こし、貫通する前に潰れて破壊され肉体の場合は、その体内に散らばります。コレは貫通による2次被害防止目的もありますが、同時に一発で相手の行動を止める為に〈その傷口を広げる〉と言う目的も有ります。
当然銃を持つ掌に、命中などしようもならその掌が、今後使い物になるかどうか?と言う心配が、特に日本の場合は大きいと思われます。
むしろ日本の場合、特に警官の持つ拳銃の弾丸は世界的に見ても威力の弱い、38口径弾で発射薬も威力の弱いモノだと聞いていますので、有効射程距離も短く通常の自動車のフロントガラスも貫通しない事で、知られています。基本的に、日本の警察官は余程の危機的状況では無い限り、犯罪者の両手足を狙って、凶器を使用しての行動を難しくさせるように、指導されているハズです。
正しい姿勢で、止まった標的に当てる事を基本とした日本警察官の弾が、街中のとっさの状況でよく動く当て難い手足よりも、頭部より下の大きな的で有る腹部への発砲となるのは、無理からぬところでしょう。因み(ちなみ)に射殺許可が出ている犯罪者を相手にする時は、その周辺の民間人の完全退避を確認した後、できるだけ大勢で囲むようにして、一斉射撃が基本です。簡単に言えば、手早く囲んでフルボッコが、銃を使おうが使うまいが、日本警察の伝統です。
さて、この作品に関しては特に〈設定〉の問題と物語構成上の問題。
そして、細部表現の問題が有ります(動きや絵の完成度などの問題は、多過ぎて扱いきれませんので、棚上げにします)。この物語は、最近よく有る〈現代か少し先の未来の、恐らくはこの地球と異世界の間に門が開らかれ、2つの世界が何度かの武力戦闘の後。その太平洋上に現れた、異世界の島を合衆国が租借地のように実効支配すると同時に、異世界人との法律も含めた共存を認めたらしい〉所謂(いわゆる)ファンタジー・アクションモノです。ただ異なるのは、舞台は元異世界で有るハズなのに、今ではそのほとんどが地球人社会化をしていて、建物などんどの施設や移動手段は、完全に地球人のもです。
また、本来この土地に住んでいたと思われる異世界人はの多くは、地球人の価値観に巻き込まれその拝金主義(資本主義と言っていますが、そんな大仰な理念とは思えないので・・・)のおかげで、貧しくなってしまったようです。
ですが、一度拝金主義の恩恵を受けたが故か、地球人の文化も否定しないし異世界(門の向こう自分達の世界)に戻ろうとしない。話だけ聞くと密輸や密航も含めて、異世界からの移住者の方が、こちらからの異世界へ行く人より多いようです。
となると、こういう場合。
「一攫千金」を夢見て、冒険した挙げ句に(もちろん最初からも多いでしょうが)密輸・密売(特に異世界産の妖精・魔物から、魔法や地球には無い魔石?など)が蔓延(はびこ)り、合衆国の法と制度の下に組織された、市警察がガンバル!という、いささかお伽話めいた設定です。
この辺を突っ込みだしたら、切りが無いのでコレはコレで良しとします。
代わりにシビアと言うか、極端に誇張されているのが、先に触れた剣と銃器の戦闘シーンです。もちろん素手での近接格闘技も、当然のように有りますがコレは異世界人の方が、生まれながらに身体能力が高く、魔法も有るので圧倒的に有利です。
因み(ちなみ)に、物語の地球側主人公のおっさん刑事は、元軍人で異世界との戦争にも参加しているので、訓練されていない異世界人は、問題にならない程度の強さは持っています。逆に、異世界から来た『正義を執行する騎士』はその辺の、剣術・武術・魔法技術は相応に仕込まれています。
ただそれが優れているのが問題で、異世界の正義で有る《悪即斬》を、躊躇無く執行しようとするのが困りものです。
何しろ彼女の戦闘服は、魔法の繊維で出来ていて普段着から呪文を唱えるだけで、自身の能力を増幅するだけでは無い、多少なら銃弾も弾くほどの性能があります。
しかも、彼女の剣とその技は自分に撃ち込まれる銃弾の雨を切り裂き、地球製の銃すら一瞬で切断します。まァ、何処かの五右ェ門さんとの違いは、現行犯の腕を切り飛ばすと派手に血しぶきが飛び、返り血を浴びると言う事でしょう。
この派手な血しぶきと、何発9ミリ弾を撃ち込んでも派手に血は吹き出るんですが、倒れない異世界人の強靱な肉体に、地球のおっさん刑事は閉口します。
もちろん、正義を行う為に腕を切り飛ばし、半身を血で染めたお嬢様騎士の剣を撃って、止める事までしなくてはなりません。この血生臭いアクション・シーンが、この物語をただのファンタジー・バディコップ(二人一組)・アクションに、して置いてはくれません。
「2つの世界・2つの正義」
コレがこの作品の、キャッチ・コピーです、
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TVアニメ・シリーズ
「Connected」ティラナ・エクセディリカ(CV:吉岡茉祐)
試聴映像
〈SIG SAUER=シグ・ザウエル(独語読みでは「ザウアー」が近い)ここでは、日本で馴染みの深い「ザウエル」で統一します〉
『コップクラフト』の男性で地球側主人公:ケイ・マトバの愛銃。
「長い事使っている、いい銃だぞ」第3話での彼の台詞。
それを受けて異世界人の若き女性騎士ティラナ・エクセデリカは、地球の武器(武具とも言う)は敵の特に幻術士には効かないと言いながら、ケイの言葉に改めて銃を見て「その武器からは、微かにラテナ(魔力?)の匂いがする。想いを込めれば何にでも、ラテナは宿る」と言う。
コレはこの場面の、最終局面で実証されたらしい・・・。
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現在、自動拳銃(オート・マティック)の弾丸には大きく分けて、2種類が存在します。
有名な通称「コルト・ガバメント」こと、コルト・オートマティック・ピストル・M1911A1と共にそれ専用に開発された、世界初の45口径(本当なら、数字の前に「0.」ゼロ・コンマが必要ですが、勝手に省略させて頂いております)のオート・マティック用拳銃弾45ACP(ACPはオートマティック・コルト・ピストルの略、上記写真右の大きい方)。どちらも、自動銃器開発の天才〈ジョン・モーゼス・ブラウニング〉によって世に出ました。
(Browning=ブラウニングと呼ぶ方が近いそうです。この為、こちらとしては人名にはブラウニングを銃器名などでは、既に馴染みの深いブローニングを使用しています)
世界的に広まり、事実上自動拳銃弾と言えばコレと言って、決して過言ではないのが上の写真右側の少し小ぶりに見える、9ミリ・パラベラム弾。
こちらも歴史有る銃弾で、第一次世界大戦時に当時のドイツ帝国軍正式採用の、ルガーP08拳銃用の自動拳銃弾。今でもアメリカなどでは、「9ミリ・ルガー弾」と普通に呼ばれる程です。
因みにルガーとは、P08を開発したゲオルグ・ルガーという、当時ジョン・M・ブラウニングと自動銃器の分野で、世界の双璧を成した人物の名前です。ただ自動拳銃P08の開発と、その後に広がる銃の名声。同時にP08用に開発改良された、現在のNATO表記で9✕19ミリ弾、一般的には9ミリ・パラベラム弾としてほぼ世界中の自動拳銃用の弾薬として、現在も広まり続けているにしては、ブラウニングに比べその人物評は余り知られていません。
そもそも、ジョン・M・ブラウニングが手がけた最後の自動拳銃にして、今日に至るまでその基本設計思想がコルト・M1911A1から引き継がれ、複列式弾倉(FN社の技術者デュードネ・ヨセフ・サイーブの独創との説有り)を初め数々の新機軸を打ち出しつつ、ベルギーのFN(ファブリック・ナショナル社)がFN・ブローニング・ハイパワーとして1934年に世に出ました。この時既に、ブラウニングはこの世の人では在りませんでしたが、アメリカのガバメントに続きヨーロッパで既に一般化していた9ミリ・パラベラム弾に着目し、グリップに入れるタイプの弾倉(マガジン)としては驚異的な多弾数化に成功しました。
それまでの自動拳銃は、標準的なタイプで7~10発がやっとでしたが、ハイパワーは最低13発を装弾できました。
故に「ハイパワー」、決して後のマグナム弾の様に銃弾自体が、強力だった訳ではありません。そしてこの銃がこの後に、ここで紹介するSIG SAUERR P226を初め、数々の新しい自動拳銃の完全な原型となりました。
それにしても、〈コルト・ガバメント〉。
1911年と言えば、まだ明治44年。それから第一次世界大戦を経て、ベトナム戦争(1973年終結)まで正式軍用拳銃として活躍!いや現在でも、アメリカ人に愛され続け。その後の自動拳銃の方向性を決めた、正に画期的な名銃です。

第二次世界大戦終結記念の限定版コルト・M1911A1

鉄製だったガバメントも、現在ではステンレス製が
出回っています。(既にパテントの切れたガバメント
だけではなく、コルト社は小型銃器の製造を
リボルバーも含め撤退しています)


自動拳銃史上画期的だった、ブローニング・ハイパワー。
その有名な複列式弾倉は、今も後発の複列式弾倉を持
つあらゆる自動拳銃よりも、グリップは薄いのだそうです。


さてやっと、今回の主人公が持つSIG SAUERR P226。
そのシルエットから、嫌でもハイパワーの系譜を感じます。

9ミリ弾ならば通常で、15発まで込める事が出来るようです。
一体、幾つ予備弾倉を持っているのか?と聞きたくなるほど、
次々予備弾倉に取り替えては、まさに弾数で圧倒します。

SIG・SAUERR・P226には、姉妹とも言うべき多少異なる
タイプが多数存在する。ざっくりならべても、P227・P228・
P229と続くが、P226自体にも様々なバリエーションが有
るので、正直何が何だかよく分かりません。
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銃の話題が思った以上に長引いたのでで、続きは次回?と
言う事にして、まずは45ACPvs9ミリ弾の実射映像。
そして何とか見つけたけれど、何時リンク切れになるか分か
らない『コップクラフト』の映像でまとめてみました。
〈45ACP弾vs9ミリ弾〉
〈コップクラフト映像集(リンク切れ御免)〉
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