劇場版『エースをねらえ!』マンガ・コミック10巻分の内容を遺憾なく僅か85分に凝縮させたアニメ演出の奇跡!
で、その劇場版『エースをねらえ!』何ですが、とにかく資料も映像もない!無い!ナイ!!尽くしです。
何でも、版権等の関係で今では劇場版は主題歌すら入手困難!という有様です。
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さてここからは、以前So-netブログに記載したモノの、〈転載〉となります。
このブログは、そっくりそのままこのFC2ブログに移転する事に成功しましたが、インポートとエクスポートの関係で、掲載した画像の全てが失われました。そこでここからはそれを補いつつ、新しくYouTubeに投稿された画像を元に、再構成してみます。
元の記事は《劇場版アニメ『エースをねらえ!』濃密な85分の傑作!!・リンク済み">劇場版アニメ『エースをねらえ!』濃密な85分の傑作!!・リンク済み》と言う事で、ブログ・サイトごと移転してあります。
それにしても、DVDは極めて入手困難なのに、なぜか?現在Blu-rayでは、新装版が発売中です。
確かに一度はDVD化はされていますが、新品在庫は無く中古品に頼る状態です。
にも関わらず、何故かBlu-rayではつい最近復刻されています!但し問題は、主題歌です。ここでは全て、劇場公開時の「少年探偵団」という、レッキとしたコーラス・グループの歌を御案内していますが、版権問題なのか?正式な「劇場版ドラマ編」のLPレコードから「懐かしのアニメ全集」的なLP(現CD)に至るまで、なぜかTVアニメ新シリーズの「エースをねらえ!2」や、その続編OVAシリーズの主題歌を歌った方に吹き替えられています。
『劇場版エースをねらえ!』主題歌「まぶしい季節に」のシングル・レコード(CBSソニー)宣伝チラシ・・・であります(中略)チラシ裏面にあるとおり、少年探偵団は「人間カラオケ」(=人間コーラス)をセールスポイントにテレビ出演もされていましたが、小劇場を中心に活躍するパフォーマンス集団でもありました。
これらの名曲が、歌手(コーラス)グループ(三宅裕司氏らが結成した劇団で、「人間カラオケ」でブームを起こしたそうです)がその後ヒットに恵まれず、埋もれてしまいました。
同時に、この主題歌とエンディング曲共にレコード会社(CBSソニー)と劇映画作品の版権所有会社との、関係で?何と現在は、「少年探偵団」の歌うCDもなければ、新しく発売されたBlu-rayや過去のDVD版では、別の歌手が吹き替えるという扱いを受けています。
「日本音楽著作権協会」は如何なる理由があろうとも、その歌詞だと分かる部分がある「紹介」は、自分達に《利用料金》を支払わない以上、認めないとの事です。
つまり歌詞付きでの歌の紹介は、無料では不可能です。
さらに、映像ですがYouTube等の画像の紹介は、問題無いのだそうです。しかし、その画像を流すサイト(つまり当ブログ)に、広告収入を目的としたアフィリエイト・バナーが存在すると、その画像は広告収入を目的とした、営利行為と判断され、同じく《利用料金》を徴収すると言う事です。
と言う訳であらゆる意味で、アニメ・ソングはもちろんあらゆる楽曲の歌詞紹介は、事実上不可能となりました。非常に、残念です。
現在残っているのは、このアニメ劇場版公開時に発売された、シングル・レコード版のみという貴重な?存在です。
従って、これらの歌詞は全て聞き取りで、書き起こしました。難しい言葉も聞きにくい部分もないので、言葉は間違えていないとは思いますが、間とかあるいは平仮名や漢字などの、ニュアンスの違いはあると思います。
〈再掲載時註:この全てに関して「日本音楽著作権協会」は利用料を支払わない限りそっこの、削除を要求しました。しかもその利用料とは、最高10年間遡って掲載していた年月分だと言います。当然支払いは困難ですが、それやこれやでとうとう「So-netブログへ訴え」られて、ブログを閉鎖の上2度とSo-netブログを開設してはならない!と言う処分を受けました……〉
★ですので、もし歌詞やレコードなどが見付かると、
ちょっとした奇跡でしょう!★
《ブログ拍手です管理者のみ閲覧コメントも可能》
劇場版アニメ『エースをねらえ!』
〈フル・バージョン〉
劇場版アニメ『エースをねらえ!』
予告編・OPフルコーラス!
劇場版アニメ『エースをねらえ!』
〈名場面集〉
劇場版アニメ『エースをねらえ!』
オープニング・ソング
「まぶしい季節に」
作詞-竜真知子/作曲・編曲-馬飼野康二
歌-少年探偵団
劇場版アニメ『エースをねらえ!』
エンディング・ソング
「はるかな夢」
作詞-竜真知子/作曲・編曲-馬飼野康二
歌-少年探偵団
(これ歌手が違う!)
現在でも、宮崎&大塚コンビに勝るとも劣らない!
と言われる、出崎統監督&杉野昭夫作画監督コンビによる、傑作中の傑作という呼び声の高い、まさにアニメ化された『エースをねらえ!』の決定版的、作品と言っても過言では無いでしょう。
ところが、同じ1979年公開の「銀河鉄道999」や「ルパン三世・カリオストロの城」に比べて、今現在も圧倒的に知名度が低い!という、問題があります。
これは、この記事を作成するに当たっても、大変に困った……そもそも、作品そのものが劇場公開当時の状況で見る事が、ほとんど不可能!という、信じられない現実。
〈記事註:今回掲載している映像は北米仕様で、
米国から投稿されています!〉
この劇場版『エースをねらえ!』をして、あの「攻殻機動隊」等の監督・押井守氏が「アニメの勉強をしたいのなら、この作品をすり切れるまで見ろ!(当時はVHSビデオ・テープ時代)」と若い世代に、檄を飛ばしたと言われています。
ただし、この発言の真意自体は間違っていませんが、押井守氏の言葉か否かは定かではありません。しかしこの作品が、「1コマ・1秒の無駄もない、完璧にして最高のアニメ作品!」という声に反対の声は、ほとんど聞きません。
なお、この出崎監督&杉野作画監督コンビによる、TVアニメ・シリーズの最高傑作として、超有名なメジャー作品である「明日のジョー・2」ではなく、既に拙ブログ(記事註:http://aonow2.blog.fc2.com/blog-entry-389.html)で御紹介させていただいている、「おにいさまへ・・・」を挙げておきます。
これも余りにも評価が低いというか、知られていない事実には愕然とするものがあります。出崎氏が、「明日のジョー」→「エースをねらえ!」→「ベルサイユのバラ(後半)」で、培った当時のアナログなTVアニメ技術の全てを注ぎ込んだ、空前の傑作が「おにいさまへ・・・(拙ブログ:http://aonow2.blog.fc2.com/blog-entry-44.html)」に結実したと言えると思います。
出崎氏は、様々な分野に意欲的に取り組まれますので、特に最近では「源氏物語」のアニメ化など、決して高い評価を受けない作品も多い方です。
ですが、この劇場版『エースをねらえ!』と、TVシリーズ「おにいさまへ・・・」が文字通り、日本のアニメ史上のみならず映像表現史上に、残した足跡の大きさは、決して奇しくも同じ1979年に公開された宮崎峻監督の「ルパン三世・カリオストロの城」や、宮崎氏唯一のTVシリーズ監督作品、TVシリーズ「未来少年コナン」に、勝るとも劣らないという事は、どれほど強調しても強調し過ぎる事は無いと思います。
それでは、既に御覧いただいた映像から、特徴的な場面を抜き出してみます。
まずこの作品の冒頭ですが、ヒロインが普通の女子高生であり、「雨の日はゴエモン(猫の名前)、蹴飛ばす!」という、屈託の無さから始まっています。
「雨」はこの作品の1つの象徴として、所々に扱われます。
典型的な、出崎氏特異の止め絵のパターンですが、こうしてみると決して止まっていない事が、わかります。
連続して見ている時には気付き難いのですが、完全な止め絵へ入る直前から、すでに描き方がセル画のそれから止め絵のものへと、変化して最後にバーン!と決まりながらも、まだクローズ・アップで、動いていることが分かります。
つまり出崎氏の止め絵は飽くまでも、シーン(特にキャラクターの心理)を強調する為に使われており、決してセル画の枚数を減らす為でも、手抜きでも無い事が明瞭になっています。なおこのシーンでもお分かりのように、〈お蝶夫人〉こと〈竜崎麗華〉の有名な縦ロールの長い金髪共に、大きなまさに「蝶」をイメージさせるリボンが、ポイントである事も重要です。
この、再び雨のシーンですが、これはまさにヒロインの涙雨であり、圧倒的な実力差がありながら、ダブルスを組まされるというお蝶夫人の、悔し涙でもあるのでしょう。
最後のコマのお蝶夫人の手が、弾ける雨粒でまるで震えている様に見えるのも、大きな効果です。さらに、これほど雨に濡れてもビクともしないリボンとか、髪型とかありますが、何よりも重要なのは「才能があったとしても、それを実現するには、相応の積み重ねが必要だ!」という点の、強調にあります。
これはこれから敵対する、ダブルスの相手〈加賀のお蘭〉こと〈緑川蘭子〉の、長身から繰り出される弾丸サーブもまた、地道な積み重ねの結果である事を、強調しています(これは現在の、女子テニスプレイヤーの典型でもあります。そして偶然ではあるのでしょうが、現在のクルム伊達選手が一時引退する前。若いプロ時代のプレースタイルが、まさに宗方コーチが、丘に求めたものでした)。
なお余談ですが、この蘭子は宗方コーチの異母妹に当たります。そして、彼女にテニスの手ほどきをしたのも、宗方コーチでした。
典型的な、しかし劇場用35ミリ・フィルムだからこそ可能な、出崎流横3分割の画面です。
中央に見事に舞い上がって、スマッシュ(ボレー?)を決めんとするお蝶夫人を、左右にはその背後で(ダブルスの練習ですから)お蝶夫人の見事なプレイを、ただ真剣に見つめるヒロインの顔をアップで描きます。同一の画面上に、全身のカットと顔のアップそれも左右で、大きさと表情の違う顔を描く事により、このワン・シーンの密度は2倍にも3倍にもなります。
しかし、お蝶夫人の抗議もヒロイン自らの申し出も、コーチの考えを変えさせる事は、出来ませんでした。
彼はただ、有名なセリフ「時間を無駄にしてはいけない」を繰り返し、ヒロインとお蝶夫人にダブルスの練習をさるのです。お蝶夫人を始め、他の部員が帰った後も、コーチはヒロインに居残り特訓をさせます。
なお、最後のコマはヒロインがウサギ飛びをしているシーンですが、現在ではウサギ飛びには膝を痛める以外に何の効果も無い事が実証され、強要すれば虐待行為になります。
いよいよダブルスの試合が始まると、お蝶夫人は何とヒロインにボールを回しません。
1人でダブルスを、続けるつもりです。コーチの言葉に、彼女は「どうせ負けるのならば、自分の責任で負けたい」と答えます。それに対して、ヒロインは何も言えません。
そんなヒロインに、コーチは「勝負の行方は竜崎(お蝶夫人)に任せ、お前はお蘭の弾丸サーブをたった1球でいいから返せ!」と、命じます。それですら、テニスを始めてまだ数ヶ月のヒロインには、不可能と思われました。
何度倒れても、ヒロインは自分で自分を励まします。
「ひろみ、ファイト!」と。そして、その度に立ち上がる闘志を、お蝶夫人は何も言わず共その背中で感じます。
典型的な、出崎タッチの切り込みです。
いきなりのお蘭のサーブ・シーンを、黒バックから入る事によって、その間の細々した岡とお蝶夫人の問題を、一気にすっ飛ばして、結果を見せて違和感を感じさせません。岡はヤケクソになって、即興のハミングを口ずさみながら(エンディング曲になります)、ひたすら超高校級と言われる弾丸サーブに喰らい付きます。
ラケットにボールが当たるインパクトの瞬間から、ボールが2重写しに変型し、鋭くラケットから放たれます。
ヒロイン岡の才能が、ある意味で開花した瞬間でもあるのでしょう!
彼女には、お蘭がラケットでボールを打った瞬間から、その軌道が見えていました。そして彼女の運動能力、瞬発力と脚力が、目に見えないとさえ言われた弾丸サーブの行く先に、見事に回り込みます。
そして、狙いも何もなく、ただ闇雲に思い切りラケットをボールに叩き付けます。ここで、見事に振り抜く事が出来たのは、コーチの猛特訓のおかげでしょうか!?注目すべきは、インパクトの瞬間まで彼女がボールを、目でしっかり追っている事です。
ここまで描かれたら、例えテニスの専門家でも、野暮な突っ込みはしないでしょう。
そして次の瞬間、例えラケットに当たっても、弱いボールが戻るだけと前へ出ようとしたお蘭は、信じられないモノを見て、一瞬その足を止めます。
しかし時既に遅く、なまじ自分のボールが強力なだけに、見事に打ち返されると見切る事も不可能なタイミングとスピードで、自分も足元に還って来ます。
さすが、加賀のお蘭と異名を取るだけあって、土壇場で踏みとどまりました!それが、見事に前へ飛び散る汗で表現されています。ですが、ボールは鋭く彼女の足下を跳ねると、抜けて行きます。
お蘭自身だけではなく、お蝶夫人もそして岡の親友マキも、その光景を驚きを持って見つめます。
マキは、ヒロインの岡以上にこの作品にとって、無くてはならない実に貴重な名脇役です。特に、お蝶夫人に実力差を思い知らされた、雨の日のコートで茫然自失する岡を慰める彼女は
、米アカデミー助演女優賞ものです!
それやこれやで、ついに岡が日本ジュニア選抜チームに残れるか否かを、竜崎麗華との試合で判断する事になりました。
もちろん、岡は「お蝶夫人に勝てるハズがない!」と、強くコーチに試合を止めるよう頼みますが、コーチはここで逃げたら今までの苦労は、何にもならない。岡の「お蝶夫人のようになりたい!」という一心の向上心は、お蝶夫人と対等に渡り合えて、初めて実現するものだからです。
お蝶夫人もまた、急成長した才能ある後輩におめおめと、負ける訳には行きません!全力で、倒しに行く!!
岡もまた、試合をする以上、勝つつもりで戦わなくては、相手にはもちろんコーチにも、そして自分自身が築き上げて来たものにも失礼だと、覚悟を決めます。
試合は、始めから波乱含みで始まります。
いつもの華麗な、蝶が舞うようなフォームは消え、まるで獲物に躍りかかるライオンの咆哮のような声を上げて、竜崎麗華が岡ひろみに襲い掛かります。
その激しい攻防は、彼女のトレードマークだった、何があっても型くずれしない大きなリボンを、見事に引き千切るほどのものです。
小ウサギに全力で襲い掛かるような、お蝶夫人の猛攻に、岡はこれもまるで俊敏に飛び交う豹のように、受けて立ちます。
喰うか喰われるか?文字通り、ネットを挟んだ、コートの中の決闘です。
2人の戦いは熱を帯び、時間がどんどん過ぎて行きます。第1セット6-3で竜崎、第2セット6-4で岡、そして最終の第3セットは5-5のまま、デュースに突入します。もはや、誰にも勝負の行方はわかりません。
ネット際の、激しいボレー合戦!ボールがバウンドする前に打ち合う、まさにテニスという名の格闘技です。
そして、ついに岡がお蝶夫人に対して、アドバンテージ(次の1ポイントを取ったら勝ち)を取ります。マッチ・ポイントです。
マキが、驚愕します。
「ひろみが、お蝶夫人を追い詰めた!あとワン・ポイント……ひろみ、あとワン・ポイント!!」
この見ている人々の顔もただ、見せるだけでなく、その時の試合の流れやヒロイン達の心理状態に合わせて、一気に寄るかそれともこのようにジワジワと寄るか、一見同じアングルの同じ絵に見えますが、決して止まってはいません。
そして、この試合の意義と重みを誰よりも知る宗方コーチと、異母妹の蘭子もまた、それぞれの思いで見つめています。テニスの試合では原則として、選手はコートに入ったら如何なる助言や指示も、外から受ける事は許されません。
最初のTVアニメ・シリーズの、有名な主題歌のフレーズ、「コートでは、だれでも1人1人きり~♪」はまさに的確にその事を表しています。
ついに、ひろみがトスを上げます。
最後のポイントを取るか、取られて再びデュースになるか!?誰しもが、ここで息を飲みます。
ひろみの渾身のサーブ、しかしお蝶夫人の目は、鋭くその軌道を見切っていました。
躊躇わずに前へ出る、全国高校女子テニス・ナンバー1の女王、竜崎麗華!
誰もお蝶夫人と呼び、本人もまた納得するほどの、華麗なる実力の持ち主。
まさに、テニス・コートに舞う蝶さながらの、美しいフォームでバランス良く、岡の渾身のサーブを打ち返します。テニスでは、もっとも打ち返しにくいのが、ネットの上ギリギリを飛ぶ球です。岡のサーブもそうでした……。
実に見事な、ハイ・スピードとストップ・モーション。
そして、スロー・モーションへの切り替え。映像作品としては、ごく当たり前の手法もその使い方を駆使すると、アニメでもここまで緊迫感や緊張感や、そしてそれぞれのキャラクターの心情を、鮮やかに浮かび上がらせます。
ボールは、ゆっくりとお蝶夫人側のコートへと落ちて行きます。
もはや、この時点で勝敗は決しました!しかし、画面は静まり返っています。
まるで、ボールの落ちる音が響き渡るような気になりますが、実際は静かに1度跳ねて、転がっただけです。周囲の空気が、止まります。
その静寂を破るかのように、主審がゲーム・セット(試合終了)を宣言します。
スコア(点数)が、コート全体を見おろす俯瞰の位置で、主審の声と共に描かれて流れます。
まるで、もうそのような数字の結果は、どうでもいいのだといわんばかりに……。
レシーブの位置から、ゆっくり歩み寄るお蝶夫人の足元。
長く伸びた影が、長時間の激闘を物語ります。迎える岡は、サーブした直後にネットに寄っています(サーブ・アンド・ボレーの体勢でしょうか?)。
2人の顔が、同じ画面で二つに分けて描かれます。これも出崎監督得意の分割画面ですが、これまでは良い場面を切り取れませんでした。この作品は劇場用映画サイズなので、35ミリ・フルサイズ版のフィルムで撮影されている為に横に長く、よりその分割画面の演出効果が、期待できます。
同時に、描かれた画面の美しさは、現在のフル・ハイビジョンをも、凌駕しています(35ミリ版映画フィルムの粒子の大きさと、フル・ハイビジョンの解像度では、まだまだフィルム粒子の方が細かい為。丁寧に美しく、細かく描かれた画像では、当時の35ミリ・フィルム映像の方が、現在のデジタル処理された映像よりも勝っています)。
ここはもう、何も言葉は要らないのでしょう。
憧れの大先輩であり、声を掛けて貰えるだけでも嬉しかった日々から、ある種の偶然からこの偉大なプレイヤーと競い合う事となり、悩み苦しみ泣き、そして今や対等の立場で戦い勝てるまでになった自分……それが決して、自分だけの力だったなどと、自惚れる感情がこのヒロインに浮かぶはずはありません。
差し伸べられた手の主は、ただ一言万感の思いこめて、「ナイス・ファイト」受け取る方は、やっと一言「ありがとう、ございました……」、その後はただ涙……涙しかありません。
分割画面の中央から、大きく2人を見おろす画面がセリ上がり、その画面が一杯に広がったところで、バッチリと止め絵になる!
まさに、出崎演出の真骨頂でしょう!!
一瞬ここで、画面がボケます。
最初は何かの間違いかとも思ったのですが、確かにボカされています。
敢えてその効果を推察すると、この瞬間ヒロイン・岡は我に返ったのではないでしょうか?試合の緊張感から解放され、自分の勝利を賞賛してくれる人々。特に親友マキの姿が、初めてまともに目に入ったと、そういう事ではないかと思います。
そして、ようやく周囲の音が戻ります。
皆が、勝者であるヒロインの名を呼びながら、コートの中に雪崩れ込んで来ます。
先頭を切って、岡の首に抱き付くのは、文字通り苦しい時も哀しい時も、共に泣き共に笑ってくれた親友、マキです。そして、ヒロインを見守り続けた、何人もの人達!
最後に、何も知らずにこの試合を見ながらも、試合内容とその結果、そして勝者に感動した人々……。
歓喜の輪の中心にいるヒロインを、コーチとヒロインの対戦相手のライバルとして、時代を二分していたコーチの異母妹が、黙って見おろしています。
喜びを、素直に表すヒロイン ・岡!
そしてそんな愛弟子を、黙って見守る宗方コーチ……しかしその表情に笑みはなく、顔の半分に影が落ちている事が、この後の悲劇を予感させます。
かの、宮崎駿監督は「アニメは、動きだ」と言ったそうですが、明らかに出崎統監督は「アニメは、絵だ!」と言いそうです。
これはどちらが間違いでも、どちらが正しいのでもなく、どちらも間違っていない!のだと、思います。どちらにしてもその粋を極める事こそが、重要では無いのかと思います。
ただ、敢えて作品で言わせていただくと、「ルパン三世」というアニメ・シリーズの、読み切りの1本として作られた「カリオストロの城」と、最初のTVシリーズ26話及び、原作シリーズ10巻分をまるまる85分という時間の枠の中に収めて、なおこのクオリティとドラマ性、そして物語としての帰結を完成させた手腕は、どれほど高く評価されたとしても、され過ぎではないと思います。
個人的に、この作品が同じ1979年公開の「銀河鉄道999」や既に日本を代表するアニメとなった、「ルパン三世・カリオストロの城」に比べて、主題歌を含めて不当に低く評価されている!と、思えてなりません。
なお、現在決して出崎氏は作品に恵まれているとは、思えません。
ですが、そこから過去の業績を否定する事の無意味は、言うまでもありません。むしろまだ、新たなアニメ表現の可能性を求めて、試行錯誤する事を止めない。この姿勢には、頭が下がります。
さらに、原作者が現在どういう状況にあろうとも、過去に作り上げた作品の評価には、何ら関係ないと言う事を、ここで改めて強調しておかなければならない事を、残念に思います。
最後に全ての発端になった、最初のTVシリーズのオープニングとエンディング。
さらに、特に今なお名曲の誉れの高い、それぞれの曲のフルコーラス・バージョンを、御紹介しておきます。
特にオープニング映像は、この当時としては画期的と言って良いほど、「テニス」というスポーツの、細かい動作が研究されている事が、素晴らしいと思い思います。実際、当時の音楽集LPレコードに付いて来た、ライナーノートには、当時の出崎監督を始めとするスタッフの困惑振りが、記されています。
「この企画書を受け取った、マッドハウスのスッタフは、蒼白となった!『明日のジョー』の経験があるとしても、同じスポーツとはいえ《ボクシング》とはまったく異なる、《テニス》なるものを、まともに知る者は正直誰もいなかった!」
そこから、まだビデオ機器すら普及していない時代に、TV局などからスポーツ・ニュースなどの映像(まだ、4大会いわゆるグランドスラム大会を、中継するなど有り得ない時代でした)や、新聞や専門誌からの写真などを大急ぎで集め、専門家から講義を受けて、何とか形になるように漕ぎ着けた……そうです。
その為、現在から見てもこのオープニングだけは(実際の番組中には、「?」という部分も少なくありません)、「ボレーはボレーに見えるし、サーブもレシーブの動きもしっかりしている」と評価されています。
最初のTVシリーズ・オープニング曲
『エースをねらえ!』
作詞:東京ムービー企画室/作曲:三沢郷
歌:大杉久美子
「日本音楽著作権協会」からの指示で歌詞は掲載できません。
〈以下よりの検索をお願いします〉
『エースをねらえ!』の歌詞クリック
最初のTVシリーズ・エンディング曲
『白いテニスコート』
作詞:東京ムービー企画室/作曲:三沢郷
歌:大杉久美子
〈歌手が違う!〉
そして最後の最後で、この劇場版『エースをねらえ!』の、ラスト・シーン宗方コーチの絶筆「岡、エースをねらえ!」の、書き置き。
そして、その宗方の死を知らずに、再びあの極限の中で自然に口ずさんだ曲を、選ばれたお蝶夫人らと渡米する飛行機の中で、思わず口ずさむヒロイン・岡のシーンからエンディングへと流れ込む、本当に感動のラスト・シーンです。
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