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TVアニメ・シリーズ『それでも世界は美しい』第05話「Ring of tales②」において〈まつりごと〉とは!?



今期始まったTVアニメシリーズの中で、正直なところ『それでも世界は美しい』は、全く期待していませんでした。
ところが、これが絵柄や展開に問題がある(後にこの原因はそもそもの原作にあると知り、アニメ化に際してのスッタフ及び監督の手際にむしろ感心しています!)けれども、設定と人物には見るべきモノがあると、感じていました。ただ、今回の第05話Ring of tales②」において、気になる場面に出くわしました。


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〈下の主題歌CDがアニメ版のヒロインです〉

そこでここが肝心なのですが、アニメ版には三賢人というこの物語の舞台となる大国を支える、三老人が登場します。
1話から登場していたので、てっきり原作のモノだと思っていたのですが、実はこれがアニメ化の重要な要素(ファクター)ともなっている、アニメオリジナルな設定でした。そしてそれにヒロインの相手役でもある、見かけ12~15歳がせいぜいの王が揃って、国家の重要な懸案を処理する最高意思決定機関と、なっていました。
これまでも、三老人と王とが密談?している場面が、アニメでは度々登場しましたが、この第5話で初めて主人公であるヒロインに対していう形で、見ている方にも公にされました。

ここまでの展開の展開で、特にこの第05話は白眉と言っても良い出来だったと、思います。


当然ですが完全にネタバレでもあります




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TVアニメシリーズ
それでも世界は美しい
第05話Ring of tales②



〈リンク切れ御免です〉

世界は美01

世界は美02

世界は美04

アニメ版オリジナルの設定、国を治める3人の老人と、少年の太陽王を加えた、4人の決定がこの国の最高意志として、決定される場面。
実際には、3老人は主に下世話な事ばかりを議論している。少年王が、「おーい、こっちの話を進めていいか?」と呼び掛けて、初めてまともな話し合いになるようです。


世界は美05

世界は美06

その審議の場で決まった事は、何人と言えども覆す事は出来ないと説明する、国王の秘書官。
実は問題の一言は、ここで発せられました。音声のみで語られたので、全部ひらがなで表記してみます。

「そのむかし、しんかんちょうにまつりごとをまかせると、けっていしたのもあのへやでのはなし~」

ここで問題となるとは極めて一般的な、同音異義語です。

ここで秘書官の言う「まつりごと」とは、間違いなく「祭祀(さいし)」つまり、「神官庁(しんかんちょう)」に、神事に関するお祭り事は全て任せる!と、言いたかったのだと思います。

実際、上記映像の英語字幕では、「フェスティバル」と訳されています。
しかし、現在でも多くの場合、特にフィクション性の強い時代劇やファンタジーで、「まつりごと」と政治や国政に関わる、王や貴族などが口にする場合、それは「(1文字で・まつりごと)」のことだと、解釈されるのが現在でも日常です。
さらにこの場面では、「しんかんちょう」が「神官長」なのか、「神官庁」なのかも判然としません。
この「しんかんちょう」に関しては、結局場面毎にどちらのなのか?戸惑う場面も多く、別に「大神官」という存在がありながら、「ご不例」=「健康状態が優れない」らしく登場しなかった事が、余計に混乱させられました。
これは原作と同じですので、アニメを原作で補完するのは、不本意ですが(アニメはアニメ、マンガはマンガとして、基本的には別々の作品と理解しています)可能です。

確認したところ、原作にはそもそもこの3老人が存在しませんので、このような場面はありません。
つまりアニメオリジナルであったので、これはシナリオ段階で漢字の「祭り事」即ち「祭祀(さいし・これを『さいじ』と読む場合もあります)と表記されたのを、そのまま「まつりごと」で通してしまったのだと、推測されます。

当然ですが「政(まつりごと)」と「祭り事(まつりごと)」は、政教分離の現代では全く別のモノで、この場合「政治」を意味する「まつりごと」では無い事は明白です。
しかし、この物語世界の構成とここまでの成り行きでは、「政治」を意味する「まつりごと」と思われる方が、むしろ自然です。これは単純に、世代格差で現在の若い人達にとって、「まつりごと」とは「祭り事」=「祭祀」だと受け取られると言うのであれば、致し方の無い事です。
しかし、古今東西の19世紀以前を描いた物語や、ファンタジーの場合はやはり口語で「まつりごと」と言われれば、それを「政治」を意味する「まつりごと」と受け取られても、仕方有りません。

いわゆる同音異義語の問題と、世代間格差の問題かも知れませんが、この辺はシナリオの段階で誤解の無い表現に、改めるべきだと思います。
そうで無いと、この物語の構成そのものが崩壊するほどの違いなのですから……


世界は美07

世界は美08

世界は美09

世界は美10


恐らくこのアニメ版で、これまでで最も美しい表現の、ヒロインだと思います。



〈歌と物語と人物と設定の
結晶とも言うべき白眉のシーンです〉

世界は美11

世界は美12

世界は美13


観衆の大きな喚声に思わず、自分達が何をしたのか?を口走る神祇官の頬には、太陽王自身が付けた剣の傷跡が見えます。


世界は美14

〈慌てて、その口を封じますが……時、既に遅しでしょう〉

世界は美15

〈太陽に被ったリング(いわゆる傘・雨の前兆)を、
雨雲がその太陽を隠します〉

世界は美16

世界は美17

〈神祇官長の顔が、雨雲の影で曇りますがそれが同時に、
彼女の身内に対する猜疑心を、象徴します〉

世界は美18

〈神祇官長の言葉に、自らの罪を認める神祇官〉

世界は美19

〈太陽王の許しを得て、「未来の正王妃として」ヒロインが
この罪を裁くと言います〉

世界は美20

〈「風で首を刎ねるか?」と嘯く相手にヒロインは、ワザワザ手袋を脱ぎ〉

世界は美21

〈「私の力で充分だ!」と腕を大きく振ります〉

世界は美22

世界は美23

〈苛烈なパンチが頬に炸裂した音が、遠く城から眺める
3老人のところにも響いたようです〉

世界は美24

〈3老人が見守る中、雨雲が切れ陽光が差し込みます〉

世界は美25

世界は美26

世界は美27

〈自分を亡き者にしようとした相手に、ヒロインは「私はこの婚約に、
一切の遺恨を残したくない。この婚約を承認しろ」と言い、諭します〉

世界は美28

〈「雨の公女」であるヒロインの作った虹と、太陽王の母が
残した指輪の半分が重なって、二人の婚約指輪となります〉


クライマックスの「日輪交換の儀」と呼ばれる、「婚約式」です。
さいごに遠くから、この様子を見ていたのも、三賢人こと下世話話の好きな、老人達です。当然これもアニメ版のオリジナルで、原作にはありません。
せっかくある意味で、アニメ・オリジナルの設定も生きて、原作以上に盛り上がった回なだけに、「まつりごと」の一言が、大変に気になりました。

もちろん、今後のアニメ版展開には、大いに期待しています。
また、まだ連載中の原作もその表紙の絵柄に、躊躇うところが有りましたが、今回の事で原作は原作で、それなりに良いと感じました。

果たしてアニメ版は、どこまで続けるのか解りませんが、せっかくのオリジナルな設定も出して来た事ですし、この際思いっきり弾けて欲しいと思います。






まさか1話~4話で、これほど細かくオープニングが変わっている!とは、驚きです!!
見付けると同時に、このように編集された方に、ただただ感謝です。ただし、いつリンク切れになるかは解りませんが……。

〈以下はリンク切れの予備です〉




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comment

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「雨の公女」という呼び名を敢えて使った見事さ!

HINAKAです。

はつゆき

御訪問の上に、書き込みまで、ありがとうございます。

「それでも世界は美しい」最初にタイトルを目にした時には、まさしく「?」で更にコッミクスの表紙を見て、「ダメだなこりゃ……」と思ったモノです。
でも取り敢えずアニメは、見始めました。正直、1話~数話は「設定や人物は良いんだが、展開が……」という印象でした、仰る通り、雨の公女が最初にドレス・アップで登場し、「アメフラシ」を行う場面から印象が変わって来ました。

トドメが、今回話題にした第5話の「婚約式」の場面のクライマックスです、まさに絵と歌と声と音楽が、その秘技の通りに1つになったような錯覚を覚えるほどの、見事な出来映えにすっかり心奪われました。
だので余計、今回話題にした「まつりごと」という表現が、音声だけの場合政治を意味する「政」と、神事や祭事を意味する「祭り事(これは当て字で正しくは《祭事(さいじ)》か《祭祀(さいし)》)」と同音異義語で紛らわしく、逆に分かり難くしているという強い違和感を覚えました。

てっきり原作の通りに、作った結果だと思ったのですが、やっと見る事の出来た原作には、そもそも3賢人と王が話し合う、最高評議の場の描写が全く存在しない事に、またビックリ!
この設定がアニメ・オリジナルだという驚きと、それによるアニメの出来映えの良さに感銘を受けています。
それだけに「「まつりごと」の同音異義語が気になり、今回このような形で記事にいたしました。

ともかくこの第5話は、その点を除けば、まさに傑作!だと思います。
本来、暗い冷たいというイメージの「雨」が、これほど美しく暖かく優しいモノだと表現された作品は、アニメにしろマンガにしろ前代未聞だと思います。そう思って読み直すと、原作も確かに設定や展開などに、未熟さを感じますが、アニメとはまた違う面白さを感じます。

とにかく、今はアニメの展開から、目が離せません。
あの3老人の声が、豪華過ぎる点も含めて、思い切って原作とは異なる表現の、アニメの演出に唸るモノがあります。特に仰るように、アニメの〈歌と音楽と絵の一致〉演出には、本当に驚かされます。
ある意味で、これまでの歌とアニメ演出の、1つの到達点と言っても、言い過ぎではないと思う、特に第5話でした。

それでは、またのお越しをお待ちしております。

雨の公女

ニケが雨を振られるとき歌うシーンが、綺麗に描けています。
人気はあまりないですが、なかなか良いアニメですよ。
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HINAKA

Author:HINAKA
『あんのんブログPart2・HINAKAの戯れ言』です。
本来は、『あんのんブログ・HINAKAの雑記』としてSo-netブログであったものが、So-netブログから追い出されて、ここで新たに構築するモノです。

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