今期で気になったアニメ・シーズの最終回のもう1つは『残響のテロル』ですが、作品内容に入る前に《高高度核爆発EMP障害》について少々。
今期と言っても、もうだいぶ見当ハズレですが、2014年秋に放映終了がしたアニメの、印象に残る最終回として、やなり『残響のテロル』を、上げざるを得ないと思います。
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そして、この最終回で大きな役割を果たした、《高高度核爆発によるEPM攻撃》があります。
実は同じく最終回で、TVアニメ・シリーズ『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD(がくえんもくしろく ハイスクール・オブ・ザ・デッド)』でも用いられ、描かれています。
電磁パルス(でんじパルス、英:electromagnetic pulse)は、高高度核爆発や雷などによって発生するパルス状の電磁波のことである。EMPと略す。
光や赤外線(熱線)も電磁波の一種であるが、電磁パルスやEMPという用語は、電波に限り言うことが多い。
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《概要》
核爆発の場合、強烈なガンマ線が高層大気と相互作用し、広域にわたってコンプトン効果を発現させ、地磁気の影響で地球の中心に向かう電磁波の流れを発生させる。低高度の核爆発では電磁パルスの発生が限定されるが、高高度核爆発であれば広範囲に電磁パルスが発生し、その被害も広範囲に及ぶ。
電磁パルスは、ケーブル・アンテナ類に高エネルギーのサージ電流を発生させ、それらに接続された電子機器などに流れる過剰な電流によって、半導体や電子回路に損傷を与えたり、一時的な誤動作を発生させる。軍事用の電子装置には、金属箔などでケーブルをシールドする、過負荷が予想される箇所に半導体の代わりの真空管を使うなど、電磁パルスに対する防護措置がされているものもある。特に、爆撃機や核ミサイルは、自らの発射した核爆弾や、同じ目標に先行する核爆弾に破壊されないよう、防護措置がされていることが多い。
原理的には、核爆発を起こさなくとも、コンデンサなどを使い電磁パルスを発生させることが可能である。そのため、非破壊・非殺傷兵器として敵の電子装備を麻痺させるEMP爆弾などが考案されているが、21世紀初頭の技術では核爆発によるものと違って小さな規模の電磁パルスしか発生できず、有効半径はせいぜい100m程度だと言われている。なおアメリカ軍が開発を進めているといわれるが、公式には実用化はされていない。
〈以下略〉
では、高高度核爆発?とは?
《概要》
〈前略〉
高度100-数100kmの高層大気圏における核爆発においては、大気が非常に希薄であり、核爆発の効果において爆風はほとんど発生しない。
核爆発のエネルギーは電離放射線が多くを占めることとなる。核爆発により核分裂後10-11秒以内に発生したガンマ線(X線)が大気層の20-40km付近の希薄な空気分子に衝突し電子を叩き出す(コンプトン効果)。叩き出された電子は地球磁場の磁力線に沿って螺旋状に跳び、10uSほどの急峻な立ち上がりで強力な電磁パルス(EMP) を発生させることとなる。
大気が希薄であることからガンマ線は遠方まで届き、発生した電磁パルスの影響範囲は水平距離で100kmから1,000km程度にまで達する場合がある。この核爆発の影響は、EMPによる電子機器障害がほとんどのため、大量破壊兵器の使用であると同時に非致死性の性格も持つ。
高高度核爆発の実験を行ったことが確認されているのはアメリカ合衆国(ジョンストン島とアーガス作戦)、ソビエト連邦(カプースチン・ヤール)の二カ国である。これらの実験では周辺での停電などの被害が発生した。
目標までの精密誘導が必要な核ミサイル攻撃に対し、EMP攻撃はミサイルを敵国の上空高高度で小規模の核爆発を起こして発生させるため、技術的にも比較的容易と見られている。
〈後略〉
●2012年10月: レッドブル・ストラトスにてフェリックス・バウムガルトナーが到達高度・約128,000フィート(約39,000m)を達成。
1961年のロス、プレイザーによる、有人気球での公式世界最高高度記録を51年ぶりに更新する。
●2013年09月20日:日本の宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所が、無人気球で到達高度53.7kmを達成。
無人気球での世界最高高度記録となる。
◆成層圏は地上およそ11km(11,000メートル)以上を、言うそうです。
現在では、無人気球であればその高さまで上昇させる事は可能ですし、更に高く地上50km以上まで上げた実績があります。
しかも、気球の大きさと目標高度にもよりますが、持ち上げる観測機器は1.5キロ~1.5トン!予測ですが、爆破装置を付けた自家製原子爆弾の重さが借りに10キロとしても、10,000メートルは時間は掛かっても、余裕で上昇すると思います。しかもそれを、高空で破壊する方法はほとんどありません。

〈琵琶湖上空30kmで名古屋方向を撮影〉
もちろん、ミサイルや機銃で狙って当たるモノでもありません。
とにかく軽くて小さいのですから、ミサイルが当たっても下手したら爆発しないかも知れません。たぶん当たる前の気流で、フワリと逃げられるとは思いますが‥‥‥。ヘリコプターはそれほど上がれませんし、ジェット戦闘機は速過ぎて例え吊り下げロープを翼端に引っかけるという、命懸けの方法(ジェット機の翼端に、1キロの重みが飛行中に突然加われば、良くて飛行姿勢が崩れます。悪くすると、翼の一部が破損するかもです!)を試みてもやはり機体を維持する速度では、速過ぎて軽い気球の方が、逃げてしまいまうでしょう。
それに、どんな起爆装置が仕掛けられているか、分かりませんから下手に衝撃は加えられないはずです。つまり低空で、人力で捕まえて回収する以外、高度が上がってしまったらお手上げと言う事です。この場合拳銃などの銃器で、気球を撃つというのは可能性としてありますが、起爆装置にどんな仕掛けがあるのか分から無いのに(衝撃や振動で爆発するとか‥‥‥)、そのような無謀なマネは出来無いでしょう。
なお現在のところ、ミサイルなどですら上昇中のモノを、撃墜する有効な方法は、まだ無いそうです。
そしてこの高高度核爆発による、被害は原則的に高度が上がれば上がるほど、EMP攻撃の範囲は広がるのだそうです。何しろ実験データーがほとんど無いのですから、詳しい事は分かりませんが、その有効範囲は100km~1,000kmに及ぶとされています。
〈アメリカが行った
高高度核爆発の実験映像〉
当時は理論的にしかEMP攻撃の効果が分かっていませんでしたので、言わば「やってみなくちゃ分から無い!」状態での実験で(同様の事は現在のところ最初で最後の核攻撃となる、第二次大戦末期に行われた、日本の広島と長崎への原子爆弾投下にも、言えるそうです。実際の地上への人的建造物的な被害は、「やってみるまで分から無かった」そうですし、ウランを使用した広島型原爆よりも、プルトニュウムを使用した長崎型原爆の方が効率の良い事も、この時に明確となり、以後の核兵器はこの、プルトニウムを用いた長崎型原爆の方式が主流となったそうです。)旧ソ連を含めても、実際の大気圏内核爆発実験は、公的には3回のみとされています。
理由は言うまでもなく、地上被害の大きさです。通常の核攻撃のような、地上での放射線や放射能被爆被害は無いと考えられています。従って、いわゆる人的被害や建造物への直接的な被害はほとんどありませんが、最初の事件当時(1950年代)でさえ、周辺一帯の大規模な停電及び、未だ電話は普及せずに電報が主流だった時代に、その電信線が多くの場所で焼け落ちたそうです。これは電信のパルス信号と、核爆発による電磁パルスの干渉により、ちょうど電子レンジの内部のような状態になり、当時の電信線が発熱し、周囲の皮膜が燃えだしたものだと言われています。もちろん、交換機を始めとした、多くの設備が謎の故障を起こし、夜空には熱帯に近いにも関わらず、オーロラのようなモノが見えたとあって、当時はかなり騒然としたようです。
問題はこの核爆発時に瞬間的に発生する強力で膨大な、『電磁パルス(でんじパルス、英:electromagnetic pulse )』です。
〈アメリカでの被害予想(1997年公開)〉
電磁波兵器が、北米大陸の中央部上空 50kmの高さで爆発した場合、半径 770kmに及ぶ地域が破壊され、上空 200kmの高さで爆発すれば半径 1,600kmに至る地域が破壊され、上空 480kmの高さで爆発すれば半径2,360kmに及ぶ地域が破壊されることが示された。
(引用者註:高高度核爆発によるという説明では無い為、その兵器が何メガトン級とか大きさ重さに対する言及は、無いようです。)
現在のところ、公にはいわゆる単体の「電磁兵器」というモノは、《確認されていない》というのが、公の見解であり「現在の技術レベルでは、兵器と呼べる段階までにはまだ程遠い」事に、なっているそうです。
ただしそれは「単体の電磁兵器」なるものであり、高高度でEMP攻撃を仕掛ける為には、現存の原子爆弾で充分だということです。
しかも大袈裟なミサイルや、他の何等かのロケット推進の飛翔体(つまりミサイルですが‥‥‥)は、必要ありません。まさに高高度まで上昇でき、原子爆弾を吊り下げる事が出来るのであれば、この作品のように《気球》でも、充分な訳です。
もちろん他に、高さ40キロメートルくらいまで、原子爆弾と起爆装置を上昇させる手段があれば、極論で言えば子供でも可能という事になります。
高さ50キロメートルで、半径770kmという事は直径にすると、およそ1,540kmの範囲に影響が及びます。
日本で言えば、直線距離でほぼ九州の鹿児島から、北海道の函館近くにまで及びます。何も東京上空でなくても、およそ富士山を目標に高度40kmの高さで、何等かの方法で原子爆弾を上空高く上げる事が出来れば、後はその原子爆弾の爆発規模(良く何メガトン級と言いますが‥‥‥)によって、被害規模は変わって来ますが、東京を含む電子立国日本の全てが、機能不全となりその回復には、2年や3年では無理でしょう。
ただ簡単であるが故の問題が、ここにあります。
日本は島国ですが、半径700キロとなれば朝鮮半島はもちろん、爆心地によっては中国やロシアを含む、それも電子設備の発達した沿岸諸都市にも、被害が及ぶ確率があります。何しろ大気圏には国境線も、遮る山脈もありませんから。
更にこれが実行されると、軍事や対テロ用としてEMP防護処置のされていない、飛行中の航空機や航行中の船舶も、当然被害は免れません。現代の航空機や船舶で、突然電子機器の機能が停止して、安全に航行できるモノがどの程度あるか?たぶん大型になればなるほど、そのダメージは深刻だと思います。
なお既に知られていることですが、『残響のテロル』の「テロル」とは、「テロ」の語源となったフランス語だと思われます。
そしてフランス語の「テロル」とは有名な、1789年のフランス革命後に行われた、「恐怖政治」や「恐怖による支配」を意味する単語だと、言われています。「残響」とは、日本語では「こだま」や「エコー」と同様、発せられた音が音源が消失したにも関わらず、いわゆる「反響現象」などにより、元の発せられた音の全部または一部が、残る事を言います。
ただし、反響と異なるのは、残響と言った場合「こだま」や「エコー」と違って、「繰り返さない音の残り」で文章でも「大きな反響があった!」という表現は良くあります。しかし、物理的な音の問題で「残響の問題が片付か無いッ!」と言う場合はあっても、比喩的に「大きな残響があった!」とは、通常使いません。
つまりここでの「残響」とは、傷跡のように「残った音」と言う意味だと、考える事が出来ます。
★という訳で、ようやく本題の?『残響のテロル』最終回!の内容となる訳です。★
《ブログ拍手です管理者のみ閲覧コメントも可能》
『残響のテロル』第11話・
最終回「VON」
『学園黙示録(HIGHSCHOOL OF THE DEAD)』
第12話・最終回
本来的には逆ですが、『高高度核爆発(こうこうどかくばくはつ)』について、より詳しい描写のある『学園黙示録(HIGHSCHOOL OF THE DEAD)』第12話・最終回の場面から御紹介します。
こちらは、『残響のテロル』と違って、本家?の核ミサイルを使った攻撃なので、表現方法としてはよりリアルで精密な描写となります。
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〈「学園黙示録」第12話・最終回より〉

〈どこかで誰かが、核ミサイルを数発発射したようです。〉

〈対(核)ミサイル防衛用イージス艦、
日本の護衛艦こんごうのようです。〉



〈日米のイージス艦に、ミサイル迎撃命
令が同時に出て、同時に発射されます。〉

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イージス艦から発射された、対空ミサイルが大気圏を目標に向かう核ミサイルに、向かって飛で行きます。
ここでチョッと、省略します。打ち上げられた核ミサイルは、ほとんどが予定通り?迎撃されますが、1発だけ残ります。これは迎撃の失敗ではなく、物語上の問題なのですが、それはともかくこの残った1発が、EMP攻撃用の核ミサイルだった訳です。
この為この核ミサイルは、地表上のどこかの大都市や軍事基地の破壊が目的ではなく、大気圏内のある高度と座標(不正確でも可)で、ある意味で自爆します。
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〈それはどうやら、日本列島の
太平洋側だったようです。〉








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日本の空港(おそらく羽田?)で、この作品の主人公達の1人と携帯電話で話していた女性(県警特殊部隊隊員と言ってますが、自宅には沢山の銃器があり、車庫の車は軍用車両でした!自衛隊とは考えられないので、むしろアメリカ軍関係者?のような、感じです。)の、持っていた携帯電話機の画面が突然発光します。そしてスピーカーからは、耳をつんざくような高音が発せられ、女性を驚かせます。同時に、空港施設内の映像表示板から映像が消え、照明も消えます。
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〈夕暮れが近づいて来た空が、突然明るくなっ
た事に驚いた女性が、窓を振り仰ぎ見ます。〉



〈突然、新たにもう一つ太陽が現れたか
のように大きく、天空が光り輝きます。〉



〈自家用の軍用自動車を持ていて、そのお陰
で主人公達が助かるのですが、軍事?関係
者なだけに、何が起こったのかを悟った様です。〉

〈突然携帯電話が使えなくなり、夕方に近い空が
真昼のように明るくなった事に、主人公達もただ
呆然と空を見上げています。〉

〈主人公達の中で、最も知識が豊富で頭の良いツ
ンデレ気味の眼鏡の女の子が、空港の女性同様
何が起こったのかを、ほぼ正確に推測ます〉


〈仲間の女の子が持っている、小銃のスコープを覗か
せ画面に電子表示が現れるか、聞きます。何も表示
しない事から。これが、EMP障害だと確信します。〉

〈電気・ガス・水道などのライフラインはもちろん、今や
自動車のエンジンはもちろん、あらゆる設備や機器が
電子装置で、作動・管理されています。その全てが、一
瞬にして破壊され、電子文明社会は崩壊します〉





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模式図による、EMP攻撃または汎高高度核爆発とも言うとして、彼女が事態の説明します。
大気圏内での核爆発は、強力な電磁パルスを発生させます。放射線や放射能は、そのまま宇宙に拡散します。大気圏上層では空気が薄い為に、高温の爆風などはほとんど起こらないと、考えられます。
ですが、電磁パルスは地上に降り注ぎ、あらゆる電導線を伝って、内部の電子部品を破壊すると言いう事です。屋内も地下も、電導線が外から引き込まれていれば、当然同様の事が起こります。
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耐EMP防御を施しているのは、一部の政府機関と自衛隊くらいのものだと、彼女は言い切ります。
対策は、交換部品があれば何とかなるかも知れないし、電磁パルスの影響が少ない場所にあるものや、電子部品を使っていない車があれば、それは問題無く動くハズだと推測します。
最も今時の自動車で、エンジンや変速機の制御に電子部品を使っていない車など、あるのでしょうか?
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〈沈黙する、電子文明の抜け殻。〉


〈結局最後は、人間お手で直接灯す火で
しか、闇を照らす明かりは得られない!
という事でしょうか‥‥‥〉

〈空港のロビーの床に、壊れた女性の
携帯電話機が、投げ捨てられています。
彼女は言います「これからの夜は、本
当の闇になるだけだ」と。〉
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さて、ようやく『残響のテロル』第11話・最終回「VON」に関してですが、全体のお話と絡めると、かなり面倒でながくなりますので、ここはスッパリ!〈高高度核爆発によるEMP障害〉に話題を絞ります。
そもそも、この物語の中では「政府が憲法解釈を変更して、国民には秘密裏に《原子爆弾》を作り、所有していた」と言う前提があります。
この為、この物語の中の原子爆弾は良く他の物語にあるような、「小学生の理科実験程度の材料と道具で出来る」と言われる〈ウラン型(ヒロシマ型)原爆〉ではなく、純官製品の〈プルトニウム型(ナガサキ型)原爆〉です。ただしプルトニュウム型原爆は、とても小学校の理科実験室で作られるようなモノではなく、本来は必ず核爆発実験をして実用性を確かめないと、核爆発が起こるかどうかも分かりません。物語の中では、その点に触れていないので、果たしてこの日本製原子爆弾が、当初の設計通りに爆発するのかは、未知数です。
なお現在公に核兵器の保有を認めて、且つ実験で証明している国の多くが所有しているのは、プルトニウム型の原子爆弾です。
どちらにしても、後半アメリカの秘密組織が出て来て、主人公達の「人的な被害無きテロ」を、強引に被害が発生するようにし向けたり、犯人達をおびき出す為に犯人達に成りすまして、本当に人が死傷するテロを行ったりします。
これは、そもそも日本の隠れた原子爆弾保有に、アメリカが介在しその製造と保有を後押しした、かなりの可能性があります。とすればその原子爆弾爆発実験も、アメリカが代行して地下ででも行ったという、可能性が高いのでしょう。原子爆弾最終的な保有には、どうしてもこの爆発実験が欠かせませんが、地球上のどこで行っても現在の状況では、必ずその兆候は捉えられ規模から種類まで、ある程度判明してしまいます。
つまり実用的な核爆弾を所有する事を、誰にも知られずに所有する事は事実上不可能です。一番簡単なのは、既に完成した核爆弾を、何等かの方法でその保有国から譲られるか、盗み出す事でしょう。ただ通常、軍事利用目的の核兵器は起爆装置を、分離して貯蔵しています。何しろ、自分の国の保管施設で爆発事故が起きたら、もちろんシャレにならないから出す。
原子爆弾というのは、他の爆発物とは異なり、火を点けたり叩いたりしても、爆発するモノではありません。
ある一定の条件が、瞬間的に満たされて初めて、いわゆる「原子核分裂」が始まりそれが、これまた一瞬で連鎖反応的にそこに用意された核物質全体に広がった時に、初めていわゆる「核爆発」が発生します。ちなみに、今何かと日常的に話題の原子力発電は、この連鎖反応の速度を意図的に緩めて、原子炉内で瞬間的な爆発ではなく、長時間の熱エネルギーの放出(それでの様々な放射線も出ますし、いわゆる放射能を含む核のゴミも残ります)に変化させたモノで、原理的には同じです。
現在のところ、この原子核分裂の連鎖反応《いわゆる臨界》が発生した場合、それを止める方法はその場の核物質を取り除くか、その場の核物質全てが核分裂を終えるまで、有効な方法は無いとされています。





〈髭顔刑事さんの娘さんは、都合良くも大
学の理工学部生で、核にも詳しいのです。〉




〈誰も直接には殺傷しない核爆発!それだ
と、確信した刑事さん。逃げ支度の部下を
文字通り引きずって、警視庁の管制室へ。〉


〈都内の定点観測カメラの1つが、45分前に空
に向かって放たれた、気球を捉えていました。〉

〈全てを成し遂げて、逃げ惑う人々に混じり何を
思うのかナイン「9」。彼の心を知る人はいない。〉

〈日本の情報収集衛星(地図・気象・道路状況など)
が、関東上空1万メートルを上昇する気球を捉えま
す。日本のスパイ衛星と、陰口を言われています。〉

〈高高度核爆発によるEMP障害の可能性を、淡々と
語る専門家。「やつらはこの国を電気の無い時代に戻
すつもりなのか?航空機はどうなる!?」軍用機以外
は対策をしていないので、全て墜落すると言われます。〉

〈怪我をしているツェルブ「12」と、奇跡的に
再会できたリサは、何もできない事を嘆きな
がら、これからどうなるのかを聞きます。〉




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爆発が不可避であるならば、可能な限り被害を少なくするしかありません。
上空を飛行中の、ヘリコプターを含む全航空機に、国交省を通じて着陸要請が出されますが、現在飛行中の約250機の航空機を全て下ろす為には、1時間半は必要と言われます。警視庁の対策本部長は、それでは間に合わないから、30分で降ろせと強く迫ります。
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さらに厚労省も含め、全ての医療施設や各交通機関にも、連絡を取るように指示されます。
爆発予定時刻まで、既に1時間を切っています。どこまで、対策が間に合うのか?戦闘機は、果たして気球に届くのか!?
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〈遂に戦闘機が、目視で気球を捉えます!〉




〈日本の航空自衛隊、F15戦闘機〉


〈航空自衛隊の戦闘機F-15の実用上昇限
度高度は約19,000メートル。高高度では、大
気が薄くエンジン出力が不安定になります。〉

〈「機体の限界高度を、超えました。これ以上の
追跡は、不可能です」という声と共に、管制室の
通常電源が、非常用に切り替わったようです。〉



〈ナインの真意を測りかねるリサに、ツェル
ブはとつとつと自分達の境遇を話します。〉



〈爆破予定時間まで、2分を切りました。〉


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通常の高高度気球は、水素かヘリウムで膨らませた、特殊ポリエチレンなどの極薄で丈夫な素材で、作られています。
それでも、上層の薄い大気圏内だと、地上での大きさの30倍以上に、膨らむ事があるようです。

実際の高高度気球が高度50kmを越えた時の、下から撮影した写真だそうです。
左側のヒモが絡んだような部分は、観測やこの写真を撮影した機器を吊しています。右側の透明な長い管(くだ)が、中のガスを放出するモノです。
これが作品の気球にも、しっかり描かれています。
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この気球の下に伸びている管が、恐らく膨らみ過ぎて破裂しないように、気球の内圧が上がると下にガスを抜く管のようです。
これは通常の観測気球とも同様で、一定以上に気球内の圧力が高まると、その弁が開いて中のガスを外に出します。この力が方向を変える推進力にならないように、細い管状のもので下に向けて放出しています。
この仕組みは、上記の高高度球と変わりありません。そのガスの噴出力が、上昇力に作用する分には問題がありませんから。
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〈時間で、正確に起爆します。地
上、約40km以上のようです。〉



〈実際の高高度核爆発がこのようになるのかは、
分かりません。今のところ、見た人はいませんので〉

〈この状況を作り出す結果となったナインは、東京のどこか
高い建物の窓から、何を思ってこの光景を、見ているので
しょうか?(場所に関しては、スカイツリーの展望台という
説がありますが、未確認です。〉


〈何が起こるか知らされていなかった、リサはた
だ呆然と、ツェルブは知っていたのでしょうか?〉



〈誰もがただ呆然と、このこの突然の太陽の輝きにも似た
光を、夜空に見上げています。今何が起こったのか?これ
から何が起こるのか?ただ漠然と予想された核爆発とは、
違ったので事情を知らない人々には、この時だけの安心感
が在ったかも知れません。〉








〈東京を中心に、関東地方一帯から次第に、あらゆる
照明の光が消えて行きます。「電気の無い時代に戻す
つもりなのか?」という、髭の刑事の言葉がまさに、駄
洒落ではなく証明されました。〉



〈そして当事者であるナイン自身も、その成果を確認しました。
この結果、恐らくは日本の電子機器のほとんどが、使用不能
となりその影響は、計り知れないモノになるハズです。見上げ
た先には、見えるハズのないオーロラが美しく輝いています。〉

〈なぜかCMタイムに、タイトル表示です。〉



〈事件後、一時的に日本各地。特に精密電子機器に、頼って
いた大都市ほど、人気(ひとけ)が無くなり、さびれています。〉



〈そんな時、ナインは1人でかつて自分達を育てた場所。
身よりの無い子供達から、才能のある者を選りすぐり、
更に薬剤などによって、超人たらしめようとした非人道
計画。その為ナイン達には名前が無く、全て番号で呼
ばれていました。ナインやツェルブは、その名残です。
もう廃墟となったその場所に、彼はまた戻って来ました。〉



〈ナインはここに、番号だけの墓標を立てていました。皆が
生きて、ここに居たこれだけがその証明で在るかのように。〉




〈そしてここで再会した、ツェルブとリサとも和解したようです。〉


〈ところがここで、そもそもの計画と今回の日本の原子爆弾製
造の両方に関わったと見られる米国が、密かに証人の抹殺を
計るべく、動いていました。軍用ヘリコプターが突然現れ、まず
ツェルブが射殺されました。会いに来ていた髭の刑事は、「日
本側の証人として残す」とされ、次はナインかと思われましたが。〉

〈ナインもまた、過去の無理な投薬などの人体実験をされた
後遺症からか、血を吐くとそのまま還らぬ人となりました。〉



〈飛び去る鳥の姿は、何を意味するでしょうか?〉





〈1年で日本全国規模のEMP障害から立ち直ったとは、
ちょっと意外でしたが、TVの中継や新聞の発行も、滞り
無く行われるようになったようです。〉




〈リサは刑事に、ナインから聞いた話として「VON」と言う単
語には、寒い国の言葉で「希望」の意味があると告げます。〉

〈ある意味一番の驚きは、リサというこの少女
の成長でしょう。何をやるにしても自信無さ気な、気
力も生命力も感じられなかった女の子が、恐らくはこの1年間。
警察や公安の激しい取り調べはもちろん、マスコミの執拗な追
求にも耐え切った上での、現在のこの大人びたどこか優し気な
表情が、彼女の成長を物語っています〉



〈かくして物語は終わりましたが、基本的には物語
全体に関しては何も踏み込んでいないし、検討もしていません。〉
-----------------
どうしても、EMP攻撃としての(汎)高高度核爆発とは一体、具体的にどういうモノか?
という部分を抜きにして、この物語は語れないはずなのですが、不思議な事にと言うか、あるいは必然だと言うのか、この物語においてその被害の精緻な表現はまったく成されていません。
これほど最終回に、「高高度核爆発によるEMP障害の脅威」を、細かく現実的に防ぎたくても防ぎようのない事象として(何しろミサイルもロケットも必要ない、高高度用の気球が在ればよいのですから)、見事に描きながらその肝心の被害に関しては、ほとんど描かれていません。
これをどう解釈し、どう受けとめて行くべきか、残念ながら物語全体の内容にまで踏み込むには、まだまだ突き詰める問題が、山積みです。
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