TVアニメ・シリーズ『終末のイゼッタ』第05話「いつわりの奇跡」より。やはり謎の魔女の箒兼用大型大口径機銃は、フィンランド製のラティm/39(ラハティ・L-39)を基にした、アニメ独自の空飛ぶイゼッタ(魔女)専用銃器だと思います。
所詮(しょせん)「アニメの中の歴史ファンタジー世界」と言ってしまえばそれまでなのでしょうが、「好きなものは好きで、気になるものは気になる!」という訳で、またしてもTVアニメ・シリーズ『終末のイゼッタ』に登場する、主人公ヒロイン魔女イゼッタが乗って操る?〈対戦車機銃(?)〉のモデルは何なのか!?という話題で、前回記事(リンク済み)で、史実で第二次世界大戦中に勃発した、旧ソ連軍がいきなりフィンランドに攻め込んだ通称「冬戦争(1939年~1940年)」の時に、押し寄せる旧ソ連100万の大軍を前に、小国フィンランドは寡兵25万で応戦。
旧ソ連軍側の問題もあって、辛うじて占領降伏は免れフィンランドンが独立を守った戦争で登場した、フィンランド製(この時は試作の2丁のみ)の〈対戦車機銃・ラティ m/39〉ではないかと思いましたが、第05話「いつわりの奇跡」で、ついに本編で登場したものを見て、やはり確信しました。
〈前略〉
L-39の特徴として、引き金を引く際には薬室が閉鎖されている「クローズボルト方式」で発射されるにもかかわらず、遊底(ボルト)自体は1射撃毎に後退した状態で固定され、射手が遊底閉鎖レバーを操作することによって遊底が前進、装弾された後に薬室が閉鎖されるという「手動閉鎖方式」の機構を持つことが挙げられる。
これは射撃後に薬室を開放することによって銃身内と薬室、及び遊底の通気を確保し、それらが過熱することを防ぐもので、射撃後に後退状態で固定された遊底は、銃把(グリップ)の前面、トリガーガード下部にある押し込み式のレバーを握り込むことにより開放され、再度前進して次弾を薬室に装填、薬室を閉鎖して射撃可能状態となる。このため、遊底開放レバーは安全装置としても機能した。
〈後略〉
〈ラティm/39(ラハティ・L-39)の右側面〉
この機銃(使用弾頭の直径が20ミリを超える、つまり口径20ミリ以上の弾頭は〈砲弾〉とされ、通称60口径以上の銃器は「銃砲」に分類されます。その為、この銃器をライフルと呼ぶべきかは?悩ましいところです)の事は、以前にも記しましたが全く知りませんでした。
てっきり、同じ頃対ソ不可侵条約を破って侵攻を始めたナチス・ドイツ軍に対して、その強力な戦車軍に有力な対抗手段を持たなかった、旧ソ連軍がまるでフィンランド軍に倣うかのように急遽開発した。現在でも使用される、規格外の14.5ミリ機銃弾。
そんな機銃弾を使用する、ある種日本で有名な「対戦車ライフル〈ルパン三世・カリオストロの城で次元が使用!〉」として『終末のイゼッタ』にも第01話~02話に登場した、シモノフPTRS-1941やデグチャレフPTRD-1941(TVアニメ・シリーズ『DARKER THAN BLACK-流星の双子-』に登場)が、当時最大の個人携帯(?運用は2人)機銃だと思っていました。
これらを増産した旧ソ連軍は、大変な犠牲を払いながらも有名な「スターリングラードの攻防戦」をしのぎ切り、ドイツ軍を撤退させる事に成功しました。
『終末のイゼッタ』でも、事前の宣伝ポスターでは「シモノフPTRS-1941」を持つ主人公ヒロイン・イゼッタが堂々と描かれています。
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さて、ついに本編登場の《イゼッタ専用空中戦用?対戦車用大型大口径機銃!?》ですが、この機銃に関する準備やイゼッタ用に機乗した状態で発砲する方法などの説明は、一切作品中にはありません。
もちろん、それ自体が空飛ぶ機銃やライフルというものは、そもそも存在しませんので何であれ、世界に唯一つの1点もの。特別製になる事は、まァ当然と言えば当然でしょう!
その上小国でもあり、軍事技術に突出した訳でも無そうなエイルシュタット公国が、独自に特別製の銃を一丁作ると言うのは無理が有りますので、元になる銃が既に存在したと言うのが、自然な流れだと思います。
そこで、史実のフィンランド軍が1939年に始まる「冬戦争」に、試作品を2丁投入したと言う《ラティ m/39》と言う、対戦車機銃(ライフル?)を、再びここで候補として挙げさせて頂きたいと、思います。
明らかに、当時のフィンランドは世界的に銃器大国として知られていた、アメリカや欧州のドイツ・イタリア・イギリスなどに対して、主流とは言えない立場にあったと思います。そこには、国家独立の歴史的背景などもありましたが、大きな問題はその立地条件。
ほぼ北極圏にあり、冬季には零下40度も当たり前。降り積もる雪は砂のような、パウダー・スノー。しかも凍り付けば、岩石並みの硬度を持つ「氷岩」化するという、過酷な自然環境下でも確実な動作をする機構がなければ、銃器としても他の機械や自動車などの動力機器も、役に立ちません。
その当時の、銃器の主流から外れていた事が、独自の発想と機構とユニークなデザインを持つ、銃器を生み出す母体であった事は、間違い無いと思います。
〈ラティ m/39(ラハティ L/39)〉
全長・2メートル24センチ 重量・49.5kg
使用機銃弾・20ミリ×138B弾 装弾数・10発
どこを探しても2脚ポッドと共に、スキー板状の橇(そり)を常備している機銃なんて、他に無いと思います。
なおこのスキー板は木製で、どこででも簡単に交換できますが、前方に可倒式の2脚ポッドと違って橇の脚部は、しっかりと機銃本体に固定されている為、簡単には取り外しができません。更に銃身に巻かれているのは、木製の遮熱板で放熱用の穴が並んでいます。
また、銃口にはマズルブレーキとそれを覆うカバーが、常設されています。これらは全て、寒冷対策と考えられ銃口のカバーは言うまでも無く、非使用時に雪が入り込み凍結するのを防ぐ為。
遮熱カバーは、外気と発射時の極端な温度差で銃身が痛むのを防ぐ為に、銃身が直接外気に触れるのを防ぎ、同時に放熱口により適度に銃身が冷めるようにとの、配慮であると想像できます。
この為、橇と遮熱カバーは温暖な地域では不要ですが、後に民生用としてアメリカに売却された物は、主にコレクターの手に渡った
為か、ワザワザ外すより原型を留める方を優先してか、殆どがそのままの形態を保っています。
〈遮熱カバーを外した状態のラティ m/39〉
〈後半の実写スロー再生で発射済みの空薬莢が下に排出されます〉
ところで、「L-39の特徴として、引き金を引く際には薬室が閉鎖されている〈クローズボルト方式〉で発射されるにもかかわらず、遊底(ボルト)自体は1射撃毎に後退した状態で固定され、射手が遊底閉鎖レバーを操作することによって遊底が前進、装弾された後に薬室が閉鎖されるという〈手動閉鎖方式〉の機構を持つ事が挙げられる」という状態が、実写映像でもよく確認できません。
これが薬室内の、弾頭発射時の熱を手早く冷却する、他の機銃には例の無い特殊な機構だそうです。
上の映像の中で、20ミリ×138機銃弾カートリッジを弾倉に装填する前の、準備手順を説明するシーンがあるので、そこからどういう構造なのかできる限り見てみます。
〈実際の戦場では、このように二人で運用していたそうです〉
それにしても、デカくて重そう!
〈実射結果、白線円内の土煙が着弾地点です。
これだけでも射程距離と威力は、充分に想像できます〉
〈普段は閉じている、マガジン(弾倉)取り付け部の蓋を開けます〉
開けると、この時の薬室は空っぽで、何も入ってません。
〈銃把(グリップ)の前面、トリガーガード下部にある押し込
み式のレバーを握り込む(赤線円内)と、遊底(ボルト)が前
進し、薬室に上部弾倉内から新たなカートリッジを薬室内に
送り込むと同時に、完全に薬室を閉鎖します(白線円内)。
この時、同時に薬室の底にある、排莢口も塞ぎます〉
〈普通はボルト(白線円内)などのレバーを引くのですが、余程
そのボルト(遊底)を引くバネ(2本)が強力なのでしょう。弾倉
装填の為に、手回し式のクランクを回して後退させます。この
作業の後またクランクを逆に回して、排莢口だけを塞ぎます〉
〈非現実的な大きさの、20ミリ×138弾を弾倉に詰めた状態〉
傍の人と比べると、その大きさがとても良くわかります。
〈こうして発射すると、その大きな空薬莢だけが下に落ちます。
この時排莢口と薬室は、完全に下に向かって開いた状態です〉
恐らくこの徹底した寒冷対策と、下に付けると地面にぶつかり横にも出来ない。
大きく重い10連発の弾倉(重量約3.4キロ)を、銃の上に載せるという発想の原点に思えます。
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そして、いよいよイゼッタ専用銃の御披露目です!
《イゼッタの魔法は「物」に対して魔力を付与するようです》
〈これはもう間違いなくオリジナルの、飛行用グリップ
ハンドルと右レバーは、飛行時用の引き金になります〉
〈空薬莢は輝きながら発射直後に、機銃の下から排莢されます。
その後で、空中だからなのか?右足で何か機関部の右側面に
ある、レバーのようなものを操作して、次弾を装填しています〉
〈いかに20ミリ弾でも、有り得ない戦果ですが発射された銃弾は、
曳光弾よりも激しく光り輝きながら、戦車群の中に消えてゆきます。
その上、排出された空薬莢まで輝いています(黒枠線内)〉
〈今度は地上に降りて、腰溜め撃ちです。重いこの銃をこのように
撃つ事は、まず不可能でしょう。しかも、その反動に腕ごと持って
行かれそうです。ただ、魔力で恐らく銃の重量は無いのも同じで
すが、20ミリ弾発射の反動だけは「物」ではありません〉
すっかり、魔改造のラティ m/39(ラハティ L/39)にしています!
〈魔力の籠った銃弾を発射!銃身から銃口まで、弾頭の移動に
伴って、魔力の輝きも移動します・・・そして、銃口から迸る魔力
の奔流!明らかに、実際の銃弾を遥かに超える威力を感じさせ
る光の束が、銃弾と共に居並ぶ戦車の側面に突き刺さります〉
〈やはりこれだけの力を放った方も、当然の様に反動を受ける様
です。この大きな(重量は問題無しとしても)銃器が、垂直に跳ね
上がります。よくまァ~射手が後ろに、倒れなかったと感心します〉
〈ここが問題の、次弾装填の為のレバー?操作です。空中に
いる時は機乗している関係上、この操作は片足で行います〉
〈地面に落ちる空薬莢ですが、この時点ではもう魔力の輝きは
有りません。うーん、薬莢の排出とレバー操作が同時?なの!?〉
〈白線円内に、ハッキリと強度増加用のベルト状のものが、
描かれています。ベルテッドケース弾と呼ばれる、20ミリ×
138B弾の特徴です。なお史実上の生産国は、スイスです〉
それでもやはり、この薬莢下方排出からもこの《イゼッタ専用空中戦兼用対戦車大型大口径機銃!?》のモデルが〈対戦車機銃・ラティ m/39〉であると、確信できました。
いかに魔法の力を付与されたとはいえ、20ミリ×138機銃弾の威力は本来、まともではありません。元々、対戦車用に使われたもので、大戦中に装甲が強化され性能が飛躍的に進歩した、後期の戦車の装甲にこそ歯が立ちませんでしたが、履帯(キャタピラは元々の製造会社名です)やエンジンンの排気口を狙う事で、行動不能にする事はできたそうです。
また戦車以外の装甲車や、軍用車両などはまだまだ有効で、その長射程も大いに役立ったそうです。
これに魔法の力が付与されれば、確かに天下無敵!なのかも、知れません。
ですが物語の方は、何だか悲劇フラグ立ちまくり!?みたいで、落ち着かないんですよねェ~。
〈リンク切れ予備・・・に、なるのかな?〉
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